■日本では法規の関係でクーペとキャノピーの付け替えは不可
発売時のグレード構成は、クーペとキャノピーともに、エントリーのタイプAと上級のタイプBの2種類。1.6L直列4気筒DOHCエンジン「CA16DE」を搭載。5速MTと4速ATが選べた。価格は、164万~192万9000円(東京・名古屋・大阪地区価格)となっており、キャノピー仕様のほうが15万円高となっていた。
米国では、クーペとステーションワゴンに変形可能とした構造が自由で開放的なクルマを象徴する機能となっていたが、日本では形状変化するコンセプトが法規に適合しないため、クーペとステーションワゴンをボディ形状の異なるクルマとしていた。
さらに法規に触れぬように、ヒンジ部を専用化することで、クーペハッチとキャノピーの付け替えができない仕様となっていたのは非常に残念であった。
日産ヘリテージコレクションの収蔵車は、初期モデルのキャノピータイプB(5MT車)だ。フロントマスクは、クーペルックなのに、リアに回るとステーションワゴンというスタイルはシューティングブレーク風だが、そこまでのスポーティさはなく、ちょっとギア感が強い。
まさにクロスオーバークーペの先駆者というべきだろう。ちなみにクーペには、日本初のリアスポイラー一体型のハイマウントストップが装備されていた。
■まったく新しい価値のクルマに挑戦した日産の心意気!
当時のベストカーを振り返ってみよう。発売直後の1986年12月10日号では徳大寺有恒氏が同車を分析。
「スペシャルティカーの楽しみを広げてくれる新しい価値のクルマ。エクサは、カーデザイナーとスタイリストのひとつの提案を生産という形で大メーカーが実現した。過去、この種の実験や提案は少なくなかったが、実験と生産は根本的に違う。これを生産させた日産は、その勇気を褒められてしかるべきであろう」と日産の心意気を買う高評価であった。
ただ、アイデアこそよかったが、キャノピー自体が重かったため、簡単に取り外すわけにもいかなかった。また、海外でも手軽にオープンエアが楽しめるクルマとしてこそ愛されたが、ボディチェンジを可能とする提案は、不発に終わった。
それを裏付けるかのように、パルサーエクサの流れを汲むNXクーペにもTバールーフと2ドアスタイルのみが受け継がれている。
クーペ市場が冷え込みを見せる今、同車のコンセプトは、軽量な構造など提案次第では、クロスオーバークーペという新たな輝きを与える存在になりそうでもある。かつて、新しく楽しいクルマに挑んだ開発者たちの心意気を、エクサは今も伝えてくれている。
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