2024年1月9日から12日にかけてラスベガスで開催されたCES。その会場で、ホンダが2026年から新たなEVシリーズを投入すると発表。壇上に登場した2台のコンセプトモデルを、現地取材を行った鈴木直也氏が解説する。
※本稿は2024年1月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年2月26日号
■業界標準に反旗を翻すコンセプトこそホンダ
世界最大のハイテク見本市CES。2024年の目玉はなんといってもホンダの新型BEVワールドプレミアだ。
その名も“ゼロ”と名付けられた新プラットフォーム、そのコンセプトは「薄く、軽く、賢く」というもの。
すなわち、航続距離至上主義で大量のバッテリーを搭載し、大きく重くなる現在のBEVに対し「もっとスマートにやれるはず!」という主張。これはかなり挑戦的な提案と言っていい。
クルマ作りが保守的になったと言われて久しいホンダだが、ことBEVに関してはきわめてアグレッシブ。2040年完全電動化の目標は微塵も揺らいでいないし、そのための投資計画も驚くほど積極的だ。
基本コンセプトが業界標準に「NO!」を突きつけるモノだけに、公開された2台のコンセプトモデルのデザインも一筋縄ではいかない。
■ホンダの本気を感じる2台のコンセプト
一台はSALOONと名付けられた低くスリークな4シーター。もう一台は対照的に四角いハイトワゴンのSPACE-HUB。
共通プラットフォームをベースに、ここまで異なるキャラのクルマが造れることをアピールしている。
ただ、ガルウィングドアなどを見ればわかるとおり、2026年と発表された発売時期までにこの姿のまま量産車が出てくるとは考えにくい。
この点についてホンダのBEV戦略を統括する假屋満さんに話を伺ったところ、「この2台より現実的なクルマが先に出ることはあり得ます」とのこと。
アフィーラもあるし、要は「BEVのタマは弾倉の中にタップリある」というわけだ。
昔ホンダが4輪に進出する際にも無謀と批判する人は多かったが、本田宗一郎さんはそんな声にまったく耳を貸さなかったという。
今こそまさに、空気を読まない決断が必要な時代。電動化に賭けるホンダのホンキを実感させる、ゼロシリーズの発表でした。
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