2023年12月13日に発売開始となった、スズキの新型「スイフト」。先日、その最上級グレードであるMZに試乗させていただいたが、新たに開発された3気筒エンジン+CVTをパドルシフトで操る走りの爽快感は、想像以上の出来だった。そのインプレッションとともに、スズキのエンジニアから聞いた、新型スイフト開発にかけた熱い想いをご紹介しよう。
文:吉川賢一
写真:SUZUKI、吉川賢一
低燃費と、不足のない動力パフォーマンスで、まさに珠玉の出来
新開発の高効率3気筒エンジン(Z12E)と、こちらも新開発のCVTを搭載しての登場となった、スズキ新型「スイフト」。先代の4気筒エンジンから3気筒エンジンへのダウンサイジングの狙いは「低燃費」だ。
新型スイフトのカタログWLTCモード燃費は、CVT車で24.5km/L、5速MTだと最高値の25.4km/Lにもなる。ヤリスガソリン車は21.3km/L(2WD)、ホンダフィットガソリン車は18.7km/L(2WD)なので、新型スイフトは頭ひとつ抜き出た数値であり、もはやストロングハイブリッド車に迫る勢いだ。
だからと言って、燃費重視の常時エコモードのような、とろい3気筒のパワートレインかと思えば、そんなことはなかった。速度を上げていっても動力性能は十分で、上り坂でもグイグイと加速していく。担当エンジニアに「この加速感はマイルドハイブリッドの恩恵が大きいのか」と質問したところ、エンジンの負担を減らすためのマイルドハイブリッドであり、加速を一時的に強める用途には使っていないという。約1000kgしかない車重の恩恵も大きいと思われるが、3気筒エンジンでここまで軽やかに走ることができるとは、正直驚かされた。
また、試乗したHYBRID MZにはパドルシフトが備わっており、これがかなり楽しい。ついつい、シフトダウン、アップを繰り返してエンジンサウンドを味わってしまった。サスペンションの振動吸収性も高く、段差の衝撃を丸め込んで往なしてくれる。燃費もよく、加速感も十分にあり、安心感があって乗り味も心地よい。このサイズのコンパクトカーの中では、珠玉の出来だと感じた。
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