【クラウンらしさとは??】最先端技術で大躍進!! 今でも乗りたい ”平成クラウン”ベスト3

■ゼロクラウンから大きく潮流が変わった

 平成のクラウンのなかで、もっとも強い印象を与えたのは平成15年(2003年)12月に登場した12代目のGRS180系クラウンだ。と言うより「ZEROクラウン」と言ったほうが分かりやすいだろう。

 それまで築いてきた伝統から解き放ち、動への躍進への変革を掲げ、ゼロから再スタートを切った。

これまでのクラウンのイメージをガラッとかえたゼロクラウン。フワフワとした独特の乗り味はキリっと引き締められた

 ゼロ・クラウンを担当した加藤光久エクゼクティブチーフエンジニアは、これまでのクラウンへの挑戦だ、と述べ、継承したのは精神のみ、と言い切った。

 世界に通用する走りを追及したのが12代目クラウンである。シャシーとサスペンションだけでなくパワーユニットとトランスミッションも新設計とするなど、高級車の新しい基準を掲げて劇的な変化を遂げたのだ。

 プラットフォームを作り直し、エンジンも新開発のV型6気筒を搭載した。ストイキ直噴を採用したD4エンジンでスタートし、マイナーチェンジしたときにアスリートに3.5Lの2GR-FSE型V型6気筒を積んでいる。

 ステアリングを握ってみると、それまでのクラウンと違ってシャシーもサスペンションもシャキッとしていた。

 ボディなどの剛性が高いから、ワインディングロードに持ち込んでも狙ったラインに乗せやすい。

 また、ブレーキの利きも大きく向上していた。それでいてドイツ車のように硬質な乗り味じゃない。サスペンションはしなやかに動き、後席でも快適だ。

 高級車市場は漸減傾向にあり、ライバル勢は販売台数を落としていた。だが、ゼロ・クラウンは好調に販売を伸ばし、通期で月平均5000台の販売を記録。

 シェアを大幅に高めている。ゼロ・クラウンの革新は成功したから、自信を持って現在までスポーティ路線を拡充することができた。果たした役割は大きい。

10代目クラウンは1995年デビュー。モノコックボディで一気に近代化が進んだ

 2番目に、いつかは乗りたいクラウンだったのは平成7年(1995年)8月に登場した10代目クラウンだ。慣れ親しんだペリメーターフレームを廃すという大英断を行い、モノコック構造のボディを身にまとっている。

 また、ホログラムヘッドアップディスプレイやスペースビジョンメーターを採用するなど、インテリアも華やかさを増した。このJZS150系は走りの質感アップにも力を入れている。

 挙動安定制御のVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)や国際水準の衝突安全ボディを採用するなど、安全性能を飛躍的に高めたことも高く評価したい。

 もう1台。クラウンの革命児だったのが平成24年(2012年)12月にベールを脱いだ14代目クラウンだ。

 驚かされたのは、エクステリアデザインである。クラウンらしいフォルムを継承しているが、大胆な稲妻グリルを採用し、ライバルたちを唖然とさせた。リーマンショック以降、高級車を取り巻く環境は大きく変化している。

 クラウンは12代目から新しい高級車像を掲げ、14代目ではメカニズムだけでなくデザインも刷新した。だが、全幅は日本の道路で運転しやすいように1800mmにとどめている。これも高く評価できるところだ。

ぎょっとするような大胆なグリルで賛否を呼んだ14代目(2012年登場)。車幅1800mmをしっかり守ったあたりは信念があるように思える

 パワーユニットはアスリート系が搭載する3.5LのV型6気筒DOHCがリーダーである。主役は2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドと12年ぶりに復活させた2Lのターボエンジンだ。

 滑らかに回るパワーユニットに加え、最新の電子制御8速ATも上質な走りに大きく貢献していた。

 スポット溶接の多用などによりハンドリングと乗り心地も大幅によくなっている。また、専用電波によるITSコネクトなどの採用も話題をまいた。

次ページは : ■アル/ヴェルに対抗してクラウンエステート復活も??

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