年間250万台を掲げたダイハツ
ダイハツは、ダイハツが開発するクルマを年間250万台とする、中期経営計画〈Dチャレンジ2025〉を2017年3月に発表している。
ダイハツ自ら製造する生産台数とその数字は異なるが、2018年度(2018年4月~2019年3月)のダイハツの年間生産台数は世界で147万台強(3年連続のプラス成長)であり、概算だが7割増しの台数まで開発に関わった車両をあと5~6年で達成するのは並大抵のことでない。
昨年の生産台数のうち、トヨタとスバルへ供給したOEM車両は67万台強なので、ダイハツ車はもとよりOEM車両のさらなる拡大が求められることにもなる。
その意味でも、新興国小型車カンパニーの責任は重大といえる。そうした新車開発を任されるダイハツ社内の緊張も、尋常ではないはずだ。
ダイハツが始めたコトづくりとは?
商品という、クルマそのもののモノづくりによる事業拡大とは別に、Dチャレンジ2025では、コトづくりということをダイハツは始めた。モノとコトの両者をあわせ〈Light you up(ライト・ユー・アップ)〉という標語も定めている。
コトづくりとは、社会とのつながりを強化し、高齢者、女性、地方の人たちを中心に、ダイハツと関わるすべての人々が生き生きとモビリティライフを過ごせる社会へ向けた活動をいう。
具体的には、地域密着プロジェクトとして、日本が世界最先端を行くといわれる少子高齢化社会における軽自動車が果たす役割として、産官学民による高齢者の事故低減および自立支援に向けた活動をダイハツは始めた。
産官学民の産はダイハツであり、ダイハツの店舗を利用して産官学民連携の場を設ける。
官は自治体で、地域に根差した行政を行う立場から住民の参加を促す。学は理学療法士協会で、健康指導を行うことにより地域の人々の生活の自立を支援する。
民はまさしく地域社会であり、住民が自助・互助を目指すことで地域の活性化を進める。
ダイハツの販売店を拠点に、自治体が参加を募った〈健康安全運転講座〉は、2018年から全国展開を開始し、開催当日は、理学療法士による体力測定/運動の指導/JAF(日本自動車連盟)の協力による安全運転指導と、ダイハツによる運転支援機能の体験など、盛りだくさんな内容で実施されている。この活動を今年は37販売会社・57市で展開する予定だ。
高齢化社会の問題に挑むダイハツ
以上のようなコトづくりの活動のなかから生まれたのが、新型タントの福祉車両強化である。
鈴鹿医療大学の畠中泰彦教授による運動解析により、タントの標準車に販売店での注文装備として、アシストグリップやオートステップが設定された。
日本は世界一の長寿国となっているが、少子高齢化による課題も生じており、介護する側も高齢化となる、老々介護の負担も大きくなっている。
福祉車両としては、助手席が回転しながら外へせり出す昇降シート車や、後席位置に車椅子を載せられる車椅子移動車があり、これらは新車開発の企画当初から計画に織り込むことにより、安価に購入できる価格設定にもなっている。
そうした高齢化社会で生活する人々にとって、衣食住に加え移動は、日々の買い物や医療機関への通院など含め、不可欠である。
それを単にモノで解決するだけでなく、できるだけ介護されることなく暮らせるようにする介護予防に、ダイハツが取り組む地域密着プロジェクトのようなコトづくりの活動が、ほかの自動車メーカーにも今後求められていくだろう。
モノとコトの両輪での事業展開へダイハツが踏む出すことができたのも、完全子会社化による立ち位置の明確化が活きているのではないか。
それらはまだ始まったばかりであるが、新型タントという商品にその新たな一歩が刻まれているようだ。
【ダイハツの新車スケジュール】
■2019年10月 コンパクトSUV(ブランニュー)
■2019年12月 ミライースTR-XX
■2020年春 新型ブーン(トヨタパッソ)
■2020年春 コンパクトミニバン(ブランニュー)
■2020年冬 新型ムーヴ
※ベストカー編集部調べ
コメント
コメントの使い方今回の不正問題はこの記事の内容と繋がっているのかな