■相次ぐ車名の「数字化」に未来はあるのだろうか?
アクセラをマツダ3に、アテンザをマツダ6に、車名を変えたことにも疑問がある。日本国内の車名を海外と統一する発想だが、アクセラやアテンザに親しんだ歴代モデルのユーザーは、寂しい思いをするだろう。
今後はデミオもマツダ2に変わるが、ロードスターは海外のMX-5に統一せず、車名を変えないらしい。理由はロードスターの歴代モデルには、それぞれファンが多く、車名が一種の財産になっているからだという。
この説明は、アクセラやアテンザのファンに対して失礼だ。メーカーにとっては車名の変更に過ぎなくても、ユーザーの受け止め方は違う。
アクセラという車種を廃止して、マツダ3を新たに投入したことを意味する。この点についてマツダ3の開発者はこう語る。
「今回のフルモデルチェンジでは、マツダ3のプラットフォームや魂動デザインを大幅に進化させた。新しいスカイアクティブXも加えたので、車名の変更に相応しいフルモデルチェンジとなった」。
確かにマツダ3は納得できるが、アテンザからマツダ6への変更は小規模改良に過ぎない。2.5Lターボは新搭載したが、すでにCX-5やCX-8に採用されていたエンジンだ。
このほかマツダ3については、新しいスカイアクティブXの価格が2Lエンジンに比べて67万円高く、なおかつ発売から2か月近くを経過した2019年7月中旬時点でも、動力性能や燃費数値が明らかにされていない。
67万円の上乗せをする価値が分からなければ、グレード選びもできないだろう。それでも販売現場では、無理のある商談が行われている。
ほかのメーカーとは違うマツダのクルマ造りを確立させることは、クルマ好きのユーザーにとってメリットをもたらす。
しかし売り方については、ユーザーに不親切な面も多い。せっかく優れたクルマを造っているのだから、それをストレートに表現すれば良い。妙に格好を付けたり、早々に受注を開始して台数を上乗せすることは避けたい。
マツダの昔からの良さは、商品開発に対して愚直に、正直に取り組む姿勢だ。ちょっと不器用なところも魅力に感じた。クルマがカッコ良くなっても、マツダの本質は変わっていない。
だからこそスカイアクティブ技術を達成できた。余計なことは考えない方がいい。今も昔も変わらない、マツダの良さを素直に表現して欲しい。
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