踏めば踏んだだけ気持ちよく加速するエンジンだった! クルマ好きから珠玉の直6ターボ「1JZ-GTE」が愛された理由とは?

■R33スカイラインの「自滅」でツアラーVが人気に?

1993年に登場した9代目R33スカイラインGTS25tタイプM。リニアチャージコンセプト採用で最高出力は2.5Lターボでも250psと控えめに(5MT車、4AT車は235ps)
1993年に登場した9代目R33スカイラインGTS25tタイプM。リニアチャージコンセプト採用で最高出力は2.5Lターボでも250psと控えめに(5MT車、4AT車は235ps)

 また、90系からマークII3兄弟において1JZ-GTE搭載車が人気となったのは同時期のR33型スカイラインが自滅したことも小さくない理由だった。

 というのも90系マークII3兄弟が出た翌1993年に登場したR33型スカイラインは、ローレルとの共用化などの事情もありボディサイズを拡大。さらにツアラーVの対抗馬となるRB25DET型2.5L直6ターボはリニアチャージターボという圧縮比を上げ、ブーストは控えめ、つまり扱いやすさ重視というコンセプトで開発され、最高出力は1JZ-GTEの280psに対して250psに抑えられた。

 このコンセプトは現在のダウンサイジングターボに通じる真っ当なもので、今になると「出るのが早すぎた」とも感じるのだが、当時はターボエンジンらしいパンチに欠けること以上にスカイラインよりもマークII3兄弟に高いスポーツ性を感じ、マークII3兄弟がスカイラインのようなキャラクターを持つようになったほどだった。

 ただ、スカイラインのRB25DETも1998年にR34型になった際に当時の自主規制だった280ps軍団の仲間入りをし、クルマ自体もスカイラインらしいスポーツ性を取り戻したことは幸いだった。

1996年に登場した6代目100系チェイサーツアラーV。マークII3兄弟のなかでは最もフロントオーバーハングが短く、スポーティだった
1996年に登場した6代目100系チェイサーツアラーV。マークII3兄弟のなかでは最もフロントオーバーハングが短く、スポーティだった

 話をマークII3兄弟に戻すと、マークII3兄弟は1996年に100系にフルモデルチェンジされ、この時期に1JZ-GTEも大きくリニューアルされた。具体的にはVVT-i(可変バルブタイミング機構)が加わり、タービンはツインターボからシングルとなり、スペックでは280psの最高出力はそのままだが、最大トルクは37.0kgmから38.5kgmを2400回転で発生。

 この改良により100系のツアラーVは、エンジンはスペック通り扱いやすさは増した代わりに高回転域の切れ味は削がれたものの、クルマ1台としての魅力は正常進化しており、100系ツアラーVがいまだ人気なのもよくわかる。

100系マークIIツアラーV。90系の時はマークIIが一番人気だったが、100系の時はマークIIはチェイサーの後塵を拝していた
100系マークIIツアラーV。90系の時はマークIIが一番人気だったが、100系の時はマークIIはチェイサーの後塵を拝していた

 1JZ-GTEは昔のエンジンらしく鋳鉄ブロックなだけでなく、ヘッドガスケットがメタルな点など、強靭なことに加えタービン交換をはじめとした発展性の広さも大きな魅力だ。

 さらに1JZ-GTEはここで名前の挙がったモデル以外でも170系の11代目クラウンにも搭載され、今でも中古エンジンの入手が可能なこともあり、ドリフト業界を中心にマークII3兄弟+1JZ-GTEの人気は当面続くに違いない。

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