中国製EVでは主流となっているLFP(リン酸鉄)バッテリー。航続距離は短くなるが原材料費が安価で車体価格が抑えられ、EV普及の一助になるのではと期待されている。そのLFPバッテリーを日産が自社で開発中だという。搭載車はどれになる!?
※本稿は2024年2月のものです
文/角田伸幸、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■これでEVも安くなるか? 日産がLFP電池を開発中
中国製EVといえば、動力源のリチウムイオン電池にリン酸鉄(LFP)タイプを搭載していることが多い。BYDはもちろんNIOの一部モデル、あのテスラですら上海工場で作る廉価モデルはLFP電池だ。
いっぽう日本のEVに目を向けると、従来からの三元系(ニッケル・マンガン・コバルト材)ばかり。唯一トヨタが、バイポーラ型LFPを開発中と表明していたのだが、そこへ思わぬ知らせが届いた。日本経済新聞が「日産がLFPを自社開発」と報じたのだ。
それによれば日産は、今後導入する新興国向けの低価格EVにLFPを搭載する。電池自体の開発は自社で行うが、量産にあたっては電池メーカーとの協業も検討するという。元日産傘下のAESCもLFPを開発中というから、協業先としては有力だろう。
改めてLFPの特徴だが、リチウムイオンを発生させる正極にリン酸鉄を用いる点がポイント。三元系に比べるとエネルギー密度は低い(=航続距離が短い)が、材料が安価なうえ発火しにくく、繰り返し充電にも強いというメリットを持つ。
とはいえ日本のクルマメーカーは、長く取り組んできた三元系電池のコスト回収や、先行する中国の特許などが邪魔をして、LFPへの移行が進んでいない。
実際、国際エネルギー機関によれば、EVにおけるLFPの搭載シェアは27%まで急成長しているのに、その95%は中国車に搭載されているのだそうだ。
そんななかでの今回の日産のニュースは、日本のEVの低価格化を推し進める上で実に心強い。国内のサクラやリーフといった入門用EVにも、ぜひとも搭載を期待したい。
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