本当にクルマが好きな人たちがつくったクルマだった
もちろん空力性能だけでなく、サスペンションもフロント・リア共にダンパー、スプリング、スタビライザーが強化・最適化され、ロール剛性と応答性を向上。ステアリング操作に対するレスポンスのクイックネスもさらに突き詰めることで、高速コーナーでの安定性を保ちつつ、中・低速コーナーでの切れ味鋭い旋回という、相反する要素を同時に実現していた。
極めつけは「徹底した軽量化」だ。Type Sが登場するタイミングで、S2000はバネ下重量の軽量化のため、アルミホイールのデザインを変更しているが、Type Sではそこからさらに、スペアタイヤとジャッキを廃し、応急パンク修理キットを搭載することでも軽量化を図った。リアスポイラーも中空化することで重量増を最低限にとどめている。
正直、多くの人が公道でしか乗らないカタログモデルでここまで必要なのかと思えるほどのこだわりぶりだが、そんなものはどうでもいいのだろう。クルマが好きでたまらない人たちが、やりたいことをすべて実現させたような、「やりたいからやる」というホンダの姿勢を存分に味わうことができたクルマだった。
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中古車市場では、程度の良い個体なら500万円以上と、新車販売価格よりも高い価格で取引されている。電動化うんぬんもそうだが、何事にも効率が求められる現代では、このように無駄にも思えるほどのこだわりが詰め込まれたクルマがこの先登場する可能性は低いと思われ、そう考えるとこの中古車相場も高くはないかもしれない。
【画像ギャラリー】もうこんなクルマはつくれない… ホンダS2000とその最終仕様「Type S」(13枚)画像ギャラリー
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