2024年3月22日、日産とホンダが自動車の電動化、知能化に向けて、両社の強みを持ち合い、将来的な協業を見据えた、戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結したと発表した。まさかホンダがライバル関係にある日産と組むとは「寝耳に水」のニュースだった。ここでは「軽自動車および軽自動車EV」に関する協業の可能性について考察していきたい。
文/ベストカーWeb編集部、写真/日産、ホンダ
■日産とホンダの提携はどこまで?
日産とホンダは、自動車の電動化・知能化に向け、戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結した。自動車車載ソフトウェアプラットフォーム、バッテリーEVに関するコアコンポーネント、商品の相互補完など、幅広いスコープで検討を進めていく。
具体的にはEVの車載電池、電気モーターやギアなどを一体化した駆動システム「イーアクスル」など基幹部品の共有化や、車載ソフトのプラットフォームでの協業など幅広い範囲で協業の可能性を検討していくという。
現段階では、BEV関連で両社が協業できることはないか検討する、という段階で提携の具体的な中身は、これから、ということだ。
そもそもホンダは、昔から国内自動車メーカーと組みことはない、一匹狼とみられていた。しかし、ここ数年はその戦略は変え(三部ホンダ社長は会見でそんなことはないと発言していたが)、2023年4月には電動化技術においてGMと提携したほか、2022年9月にはソニーと組んでソニーホンダモビリティを設立し、2025年のアフィーラを皮切りに、2027年にはSUV、2028年以降には普及価格帯の小型車を市販する予定だ。
しかし、2023年10月、ホンダはGMとの提携中止を発表した。2024年春に北米で発売開始予定のBEVのSUV、ホンダプロローグの共同開発を含め、両社の包括的な協業体制は継続されるものの、GMとの協業によって誕生予定だった最量販SUVの共同開発は頓挫した。その理由としては、特にADAS(先進運転支援システム)の開発段階における方向性が合わないとされている。
いっぽう、日産は2023年2月6日、ルノーとの株式相互保有バランスを変更し、互いに15%を持ち合う対等の関係となり、共同購買の契約を解消したことで、シナジー効果、スケールメリットが薄れていた。中国市場においてもBYDなど中国EVメーカーとの価格競争に対抗できず苦戦している状況だ。
また、ホンダは、e:Nシリーズなど2027年までに10車種を導入予定の中国市場に比べると、この提携中止で北米市場に大きな穴がぽっかり開いてしまった。ソニーホンダモビリティについては、「高付加価値EV」となるため、ホンダ本体のEVとはまったく別として考えているのであまり関係ない。
コメント
コメントの使い方