レクサスが日本上陸して約15年 日本で成功しているのか?

ハイブリッドの設定はトヨタ以上に効果的

 レクサス各車種のなかで、多くの台数を販売しているグレードがハイブリッド車(HV)である。4ドアセダンのLS、GS、ISでHVの数がガソリンエンジン車を上回り、ESはHVのみの設定だ。SUVにおいても、RX、NX、UXのそれぞれで、HVの台数が多い。

 HVは環境技術と思われているかもしれないが、トヨタが2代目プリウスからハイブリッド・シナジー・ドライブの言葉を用いだしたように、単に燃費に優れるだけでなく、高級車に欠かせない静粛性や、モーターを併用する滑らかな加速などが、乗り味と価格に見合う価値で、消費者を納得させる性能をもたらしているのであろう。

レクサス初のプレミアムハッチバックとしてデビューしたCTだが、台数を稼ぐには早急の刷新が必要。レクサスにとっては重要なモデルだが現在は放置されている

 また、最新のESやUXは、トヨタのTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を活用した、レクサス版のGA‐KやGA‐Cプラットフォームを採用したことにより、走行性能だけでなく乗り心地においてもしなやかな上質さを手に入れるようになった。

 それらの乗り味は、ドイツ車とは一線を画し、またフランス車などとも違った雰囲気を備えており、いよいよレクサスらしさというものが成熟しはじめたのではないかと思わせるところがある。

 もちろん造形の面で、たとえば2012年のGSから採用されたスピンドルグリルも、だいぶ目に馴染んできたかもしれない。

レクサスはエクステリア以上にインテリアのデザイン、質感に定評がある。素材、色遣いなどライバルの追従を許さない。レクサスにしかないムードがある

 室内の淡く、明るい色合いの採用なども、ドイツ車とは異なり、近年のボルボ人気もそうした室内装飾の持ち味が好まれているともいえる。

 設立された1989年から数えると20年の歳月をかけ、レクサスは地に足の着いた立ち位置を見つけたかにみえる。

富裕層の目は確実にEVに向かっている

 そうしたなかで、販売車種の人気動向をみてみると、やはり近年の傾向としてSUVの台数が圧倒的に多い。5万5021台の半数以上がSUVだ。

 しかしながら、昨今、4ドアセダンが売れないといわれながら、レクサスの4ドアセダンも販売台数の3割を占めている。そしてもっとも高価格帯となるLSが、4ドアセダンの半数以上なのだ。

2017年にフルモデルチェンジで刷新されたフラッグシップセダンのLSは現在は少し販売が落ち着いているが、着実に売れているのはブランドが認知されている証拠

 世界的に見ても、最上級車種の4ドアセダンがしっかり売れていることが、プレミアムブランドたるゆえんであり、レクサスはそうした位置づけを外していないといえるだろう。

 今後については、メルセデスベンツがいよいよ電気自動車(EV)の導入を日本向けにも始めた。英国のジャガーは、最上級4ドアセダンのXJをEVにすると宣言した。またSUVのI‐PACEはすでに日本導入を初めており、今年の予定台数はすでに受注ずみであるという。

2019年7月4日にメルセデスベンツEQCの日本での販売が発表された。電動SUVで価格はEQC400 4MATICが1080万円。最近のメルセデスの積極攻勢は凄い

 EVの動向は、まだ確定的でない側面はあるものの、英国の高級車であるベントレー(現在はVW傘下)もEVのコンセプトカーを先日発表したばかりだ。

 これに対し、トヨタは2030年までにはなんだかのEVを投入するだろうと述べるにとどまり、当面は超小型モビリティとしてのEVしか日本では考えていないようだ。

 中国のBYDとの提携など、EV導入に際し不足分に課徴金のかかる市場にはEV導入を進めるトヨタが、果たしてプレミアムブランドとしてのEV化をどう進めるのか、その点はまったく見通せない。

レクサスは電動化に先駆けて自動運転を積極的に研究中。2019年1月にはLS500hをベースとした新型の自動運転実験車両のTRI-P4を公開

 しかし、テスラの浸透や、ポルシェも来年にはタイカンを日本に導入するなどにより、富裕層の目が次第にEVへ向かっているのも確かである。

 トヨタブランドとしてはともかくも、レクサスはどうするのか。そこが、この先の特に高価格帯の車種における販売動向に影響を及ぼしはじめるのではないだろうか。

 いまの成功も、その将来は見通しにくい状況ではある。

2019年の上海ショーでプレミアムミニバンのLM300hを公開。日本での販売は消極的だが、ドイツ御三家にないミニバンのラインナップは需要拡大に効果的かも

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