■残念な結果に終わった呉越同舟2選
■ダイムラー&クライスラー
1998年、「世紀の合併」ともいわれる巨大自動車メーカー同士の提携が発表された。メルセデスベンツのブランド名でも知られるドイツのダイムラーベンツ(当時)がアメリカのクライスラーを買収し、新グループのダイムラークライスラーが誕生したのだ。
この時期に業績不振に陥っていたクライスラーの株式をダイムラーベンツが取得し、子会社化したのだが、クライスラー自体がビッグネームであり、グループの名称もダイムラークライスラーに変更された。
確固たる自社ブランドのあるダイムラーがクライスラーを買収したことが当時話題になったが、米国での業績拡大を考えていたダイムラーにとって、クライスラーの合併は賭けであると同時に、成功した暁には大きなリターンの可能性もあった。
当初から「ドイツとアメリカのメーカーが提携してもうまくいくはずはない」と陰口もささやかれたこの合併は、初年度にはある程度の業績改善もあった。
だが、やはり文化や技術的思考の異なる両社のすれ違いは次第に大きくなり、クライスラーの不振も完全解消までは至らなかった。
結局、ダイムラーとクライスラーの提携は2007年に解消され、ダイムラーは独自路線へ回帰。紆余曲折のあったクライスラーは、現在フィアットやシトロエンなどで形成されるステランティスグループの一員になっている。
■スズキ&VW
国際仲裁裁判所は2015年8月、自動車メーカーのスズキから申し立てのあったフォルクスワーゲン(VW)との業務提携解消を認め、VWは所有していたスズキの株式19.9%を手放すことになった。
両社の提携が開始されたのが2009年12月のことで、VWにはスズキの販売台数もとり込んでグループを大きくしたいという目論見があり、スズキもVWからの技術支援を期待していた。
だが、VWはスズキの経営に影響を与えられると考えていたのに、スズキ側の意向によりそれがかなわず、スズキはスズキでVWからの技術支援がないことに不満を抱いていた。
こうした両社の思惑違いは時間が進むに連れて顕著なものとなり、スズキは2011年に提携解消に関する調停依頼を国際仲裁裁判所に行った。
最終的にスズキとVWの提携は完全に解消されたが、両社にとってこの提携・解消は後味の悪いものとなった。
自動車メーカーの提携にはさまざまな狙いが交錯し、結果がどう転ぶかは提携開始時点では誰にもわからない。今後もこうした提携や、それを解消するための動きはあるはずだが、それに伴う悪影響がユーザーには及ばないよう願いたい。
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