日産といえばスカイラインやローレルなどと同列に登場するのがセドリック/グロリアだ。上級セダンとして日産のラインナップに君臨したが、2004年の10代目(セドリックとして)Y34をもって生産終了したモデルだ。最後の「セドグロ」であるY34は時代を考えれば超絶進化していたモデルだったので、思わず振り返っちゃうぞ。
文:ベストカーWeb編集部/写真:日産
■このスタイリングはポルシェデザインの集大成?
まずY34を語るうえで外せないのがそのエクステリア。デザインはポルシェデザインだと新車当時から自動車メディアでは囁かれてたが、ほぼ間違いなくポルシェデザインの手が入ったデザインだろう。
この後もV35スカイラインなどでポルシェデザインへのデザイン依頼がされたなどのハナシもあるから、どの程度までかは置いておいてもポルシェデザインのエッセンスが入っているのは確実だろう。
Y34が発表された1999年当時としては日産がルノー傘下になり、まさに存続を賭けた時期だった。厳しい時代に日産の今後を占うモデルとして生まれたのだ。その「後がない」状況での思いっきりがこの先進的なデザインを生んだはずだ。
特にグロリアはクリアテールを採用しつつも、上品にまとまっているのがいま見ても感動的だ。
■「ブロアム」「グランツーリスモ」の伝統を断ち切る
セド/グロといえば「ブロアム」「グランツーリスモ」の「ブロ/グランツ」というグレード呼称がY31からの伝統だった。グレード名だけでそのオーナーの嗜好がわかるほど馴染んだグレードだったのだが、Y34でそれらは廃止(グロリアのグランツーリスモはなぜか甦るけど……)。
現在の日産と同じく排気量+英文字というスタイルになったのだ。エンジンはトップグレードで280ps39.5kgmを誇るV6の3LターボVQ30DET、直噴3L/V6NAのVQ30DE、2.5LのVQ25DE、そして4WDモデルだけR直6ターボのRB25DETが搭載された。
それだけ走りに上質感と方向性を振り切ったモデルだったともいえる。実際に乗るとガッチリとしたボディ剛性はまさに21世紀基準だし、当時はBMW5シリーズやベンツEクラスとがっぷり四つとすら評価された。
■最先端トランスミッションなど装備もり沢山
最大のハイライトは「技術の日産」らしくトロイダルCVTを採用。大パワーにも対応した無段階変速機だが、これまた当時は相当なインパクトがあった。なんたってCVTがまだ珍しい存在で、しかも280psの3Lターボにも対応したのだから。
さらには海外向けにはインフィニティM45としてV8エンジンを搭載してデビューするなど、日産としては大きな力を入れたモデルだったことがわかる。
ちなみにあのボディに8気筒が搭載できたのは4WD用にRBエンジンを搭載するために、やや長めのロングノーズだったことが功を奏したのだ。
追従式のレーダークルコンなど装備は立派だったのだが、ライバルのクラウンがガラっと装いを新たに「ゼロクラウン」になったこともあり、最後のセドリック/グロリアは幕を閉じる。後継車種のフーガもいいクルマだったんだけどなぁ……。
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