トヨタの不適切事案は「法規要件より厳しい」試験がほとんど……そもそもの認証制度に課題はないの? 豊田会長が登壇で説明

トヨタの不適切事案は「法規要件より厳しい」試験がほとんど……そもそもの認証制度に課題はないの? 豊田会長が登壇で説明

 6月3日、トヨタ自動車は1月から進めてきた型式指定申請に関する調査の中間報告を行った。その結果、数万件の中から6件の不適切事案が見つかったというのだが、はたしてその内容と影響はどれほどのものなのだろうか。国沢光宏氏に分析してもらった。

文:国沢光宏/写真:トヨタ自動車、ベストカーWeb編集部

■見つかった6件の不適切事案とは?

会見に臨んだ豊田章男会長(右)と宮本眞志カスタマーファースト推進本部長
会見に臨んだ豊田章男会長(右)と宮本眞志カスタマーファースト推進本部長

 ダイハツ不正問題を受け、国交省は自動車関連企業に「3ヶ月を目処に認証申請の不正を総点検しろ」という指示を出していた。本日より各社から五月雨式に状況説明があると思う。そんな中、トヨタは数万件前後の実験、試験データの全てを再確認し、6件見つかった不適切事案の詳細を公表している。具体的な内容は以下の通り。

1)エアバッグのタイマー着火させたデータをマイナーチェンジ車の認証申請に使用(2014年クラウン/2015年アイシス)。
2)歩行者保護の試験を規定と異なる厳しい角度で行う(2015年カローラ)。
3)歩行者保護の試験場所を申請と左右違う場所で行った(2015年シエンタ&クラウン)
4)規定より700kg重い台車を使い後突試験を行った(2014年クラウン/2015年シエンタ)
5)新規定の認定を取っていない荷物試験用ブロックを荷室に積んで試験を行った(現行モデルのヤリスクロス)
6)エンジン出力が申請内容より低かったのでロムチューンした(2015年レクサスRX)

 1)はマイナーチェンジ車両であり、新車登録時はクリア済み。だったらシートベルト性能のチェックをするため、エアバッグの展開を遅らせてみようという趣旨のため、市販車の安全性には問題ないと思う。2)と4)は国交省指定より厳しい条件なので不安なし。3)についていえば構造的に同じ。申請した場所にしておけばよかった。5)ブロックの重さは同じなので差は無い。6)シャシダイナモで使ったエンジンの排気管が一部潰れていた。市販車はクリア確認済み。

■日常のクルマ使用に不安を抱く必要なし

不適切事案が確認された現行車3台のうちの1台、ヤリスクロス
不適切事案が確認された現行車3台のうちの1台、ヤリスクロス

 ということなので当該車両に乗っていても不安を抱く必要はないだろう。ダイハツは当初からトヨタのように詳細の説明をすればよかったのに。はたまた今回発表したトヨタの不適切事案、問題なしと判断して「不適切事項ありませんでした」と発表しても何ら問題無かったと考える。聞けば豊田章男会長が直接「全ての書類を調査して国交省に対し申請した内容と、実験/試験データの齟齬あればどんなことでも報告すること」と指示を出したという。

 ちなみに本日発表された不適切事案の記者会見の出席者は他の企業が社長なのに対し、トヨタだけ会長。会長出なければ「当時の責任者なのに現社長に責任を負わすのか!」と言われ、かといって会長出てくれば「佐藤社長は操り人形だった」みたいなことを言われる。どちらにしろ叩かれる。この手の記者会見、本来なら当時の責任者が登壇すべきだと思う。なかには自分が社長やってた時に出た不正なのに、関係ない後任社長に責任取らせる人もいる。

 ここは会長の登壇でいいと考えます。認証不正問題については、これまでも豊田章男会長が説明してきたからだ。

 ただ佐藤さんの存在感を薄めるのもよくない。佐藤さんのコメントもあったほうがいいと思う。また、トヨタ以外の企業を見ると不適切事案の詳細を出したり、出さなかったり。日産のように「皆無」という企業もある。日産、ルノー分もあるし下請けいじめの調査もある。詳細確認は大変だったと思う。

 いずれにしろ、自動車産業は問題ないと思われるデータだったとしても全て公開すべきだろう。

【画像ギャラリー】不適切事案が報告された現行車種3台はこちら!(4枚)画像ギャラリー

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