■ミドシップゆえの悲劇?
先に紹介したミドシップ車の魅力は、見方を変えれば減点対象にもなる。俊敏な操縦性は乗り手の技能を要求するし、街乗りでは加速性能の高さにも配慮しなくてはいけない。
信号が変わって軽くアクセルを踏んだつもりが、勢いよく加速してビックリすることもある。
乗車人数が少ないことや、多くの荷物を積めないこともミドシップ車の弱点だ。実用性を重視しないスポーツカーであっても、乗車&荷物スペースが小さすぎるミドシップレイアウトが敬遠されるケースもある。
大排気量&V型12気筒のような大きなエンジンをミドシップ搭載するのはスペース的にも難しく、フロントエンジンを選択する大排気量スポーツカーも多い。
さらにこれはミドシップ車にかぎった話ではないが、スポーツカーは保険料や維持費が高くなる傾向があり、このことも難点のひとつといえる。
■それでもミドシップを選んだモデル4選
最後は現在までに登場した注目のミドシップスポーツカーをピックアップして紹介する。
なかには“なんちゃってミドシップ”と揶揄されたモデルもあるが、それぞれに大きな魅力を持ったクルマなのは間違いない。
■フェラーリ 365GT4BB
1970年代の日本に巻き起こったスーパーブームにおける主役の1台がこのクルマ。イタリアの名門フェラーリが1973年に販売した同社のフラッグシップモデルであり、V型12気筒エンジンをミドシップに搭載する。
カタログスペックの最高速度302km/hも話題になったが、4.4LのV12気筒エンジンをミドシップ搭載するためにマウント位置を上げざるをえず、本来のミドシップ車が持つ運動性能はスポイルされていた。
■ランボルギーニ カウンタック
フェラーリ 365GT4BBを紹介するなら、このカウンタックも登場させないわけにはいかない。365GT4BBに遅れること1年、同じイタリアのランボルギーニ社がリリースしたカウンタックは、イタリア北西部の感嘆表現である「クンタッチ」を車名にし、その内容でも周囲を驚かせた。
初期モデルでは3.9LのV12エンジンをミドシップマウント、典型的なウェッジシェイプのボディは、ほかのどのクルマにも似ていないスタイルだった。最終的にカウンタックは16年間生産されるロングセラーモデルとなった。
■ホンダ NSX(初代)
1990年にホンダから登場したミドシップスポーツカー。エンジンはホンダ レジェンドのV6をベースに開発し、モノコックボディはオールアルミ製の軽量仕上げと、国産スーパースポーツカーにふさわしい内容を持っていた。
しかし、後部のトランクスペースを確保するためにエンジンは横置き搭載され、ギアボックスをエンジンの側面に配置する特異なレイアウトを採用していたため、この初代NSXを純粋なミドシップスポーツとは見なさない風潮もある。
■トヨタMR2/MR-S
トヨタが1984年に発売した初代MR2と、その実質的な後継車種として1999年にデビューしたMR-Sは、いずれもFF車のコンポーネンツを流用して生まれたミドシップスポーツカーだ。
FF車の直4エンジンとギアボックスを逆向きにして、リアタイヤの前に搭載することによってミドシップを実現したMR2とMR-Sは、手頃な価格でミドシップスポーツを市場に提供するという目標を実現した。
一部には高く評価されたMR2&MR-Sだったが、商業面では成功したといえず、それぞれ比較的短命なモデルに終わっている。
ますますエコが重視される現在は、効率的とはいえないミドシップにとって肩身が狭い状況になっている。しかし、ミドシップスポーツカーにはほかのレイアウトにはない魅力があり、それに憧れるドライバーがいるのも事実だ。将来的なミドシップスポーツの復権に期待したい。
【画像ギャラリー】一度は乗ってみたい!? ミドシップの魅力をチェックしよう(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方89年に5ナン200万~で発売されたSW20は、22Bと並ぶ自動車誌に残るジャイアントキラーでしたね。
タイプRは別格の別車として、ノーマルのNSXたちにも、最終型じゃない近い世代のFDたちにも、サーキットによってはGT-R勢すら負かしていた。そして価格は圧倒的に安い。
もうあんな車は絶対出ないでしょうね。今度GRから同名でくる可能性ありますが、1千万超えで当時のNSX-Rとかの立ち位置で別格扱い
MRの良さは何と言ってもフロント周りの低さですね。
昨日、信号待ちで対向車だった車が、AscariのKZ1かと最初思ったほど低くて格好良く、すれ違う時によく見たらMR-Sのライトやバンパー変更仕様でした。
全然低いイメージの無かったMR-Sでも、少変更と車高落としただけで見違えるほど低く幅広に映る。これはMRならではでしょう