2000年に登場したトヨタのコンパクトカー「WiLL Vi」。なんだか馬車を思わせる不思議なシルエットが特徴的なモデルであった。その後もVS、CYPHAと不思議なエクステリアデザインのクルマが登場したWiLLシリーズだが、従来のクルマのブランド構築とは違ったアプローチが取られていたのだ。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部
トヨタだけじゃない!異業種5社による協力プロジェクト!
WiLLシリーズは、異業種合同プロジェクト「WiLL」の中で誕生した。WiLLプロジェクトは1999年に発足、その目的は21世紀における新たな消費スタイルへの適応と新市場創出であった。
このプロジェクトにはトヨタ自動車の他にアサヒビール株式会社、花王株式会社、近畿日本ツーリスト株式会社、松下電器産業株式会社が参加し計5社共同のプロジェクトとなった。
当時の時代背景として、若年層のトヨタ車離れがあったそうだ。そして若者たちの価値観や消費行動も大きく変わってきていた時代でもあった。
そのような背景の中、専業各社でブランドを打ち出すのではなく、ヒット商品を生み出すために異業種共同でマーケティングやブランドを考える…このようにして誕生したのがWiLLプロジェクトであった。
つまりWiLLプロジェクトが目指したブランドは「遊び心ゴコロと本物感」であった。
日々のあらゆるシーンを、WiLLブランドで彩っちゃう!
ジャンルの異なる5社がこれらの参加企業からは様々なWiLL商品が販売された。トヨタから販売された「クルマの」WiLLはWiLLブランドの1つの商品と捉えるのが正しいと言えるだろう。
クルマ以外にはパソコンや冷蔵庫といった家電アイテムや、消臭剤や芳香剤といったアイテム、さらにはお菓子やビールといった食料品や旅行パッケージツアーまでも販売されていた。
日々の生活からコト体験に至るまで生活のあらゆるシーンを彩ってくれる商品がWiLLから発売されていた。
時代が追いついてない!? WiLLプロジェクトは早すぎた説
今日までWiLLブランドが続いていないことを考えると大成功ではなかったと言えるだろう。ただ、近年は自動車だけに留まらず「企業コラボ」という形は増えてきている。
その背景にはSNSの発達により、企業同士がSNSをキッカケにコラボする展開が多く見られる。
そう考えるとWiLLプロジェクトは早すぎたマーケティング戦略だったのかもしれない。ただ、現代も「多様化」などが色々と話題に上がる時代だ。
クルマのブランディングやマーケティング、販売方法なども様々な手法が取られているように思える。
今後の自動車の進化には、自動車そのものの技術的な進化もあるだろうが、このようなユーザーや一般大衆からどのように見えるのか?といった部分も進化や変革があるかもしれない。
そのような部分の時代による変貌も楽しみの1つと言えるだろう。
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コメント
コメントの使い方WiLL VSは今でも刺さる人には刺さりまくる車。職場の若手も数年ずっと探し続けてやっと手に入れたようです。
幾何学的で類の無いフロントフェイス、GRヤリスかのような引き絞られたサイドからリアのフォルム、ぎょっとするほど奇抜で純正とは思えない内装、全部一貫性があるのも凄い