■「あたり」しか作らないGRファクトリー
さらに驚くのが生産時と完成車両の精度管理だった。クルマには1台ごとに誤差がある。ボディのサスペンションの取り付け位置すらミリ単位で違う。普通のクルマなら1ミリ違うくらいだとまったく問題ない。されどサーキットに持ち込み限界を引き出すと、精度の違いでクルマの乗り味にバラ付きが出てしまう。
それを今までは「あたり」とか「はずれ」と言ってきた。GRファクトリーのラインでは「あたり」しか作らない。
さまざまな工程で精度チェック。取り付ける部品も精度を合わせていく。さらに足回り部品は1Gをかけた状態で締めるとか、アライメントは競技車両レベルで合わせていく。その上で全数を走行テストしているのだった。
普通のクルマを買ってボディ剛性を高めるためにスポット溶接の増し打ちや精度管理まで行えばスンゴク高いクルマになる。そう考えると「GRファクトリー式生産」はいいクルマをリーズナブルに作れる最適な方法かもしれません。
■GRファクトリーとは?
愛知県豊田市の元町工場にあるGRヤリスとGRカローラの専用生産施設。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実現するために、高精度なモデルを少量生産するというこれまでのトヨタにはない考え方が導入されている。
ロボットに加え、匠と呼ばれる高い技術を持つ職人さんたちの手作業を組み入れ、ばらつきの少ない、モータースポーツで勝てるクルマが誕生している。約400人が就業し、1日の生産台数は60~70台。
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