ポルシェやランボも作れそう……「あたり」固体しか生まない設備も人材も日本最高峰!!! GRファクトリーが凄すぎる

ポルシェやランボも作れそう……「あたり」固体しか生まない設備も人材も日本最高峰!!! GRファクトリーが凄すぎる

 愛知県のトヨタ元町工場にあるGRファクトリー。GRヤリスやGRカローラの専用工場になっているが、その設備が非常に興味深い。なんたってタクトタイムが一般の工場の60秒とは違いなんと10分もあるという。こりゃ人材も設備もすげーぞ!!!

文:国沢光宏/写真:トヨタ

■GRファクトリーならポルシェやランボルギーニも作れる!

AGVと呼ばれる無人搬送車によるメインボディ作りには細心のロボットが使われる。溶接するガンはさまざまなヘッドが自動で交換される
AGVと呼ばれる無人搬送車によるメインボディ作りには細心のロボットが使われる。溶接するガンはさまざまなヘッドが自動で交換される

 GRヤリスとGRカローラを作っているGRファクトリーの生産ラインを見たら「これは面白い!」。以前から「効率を徹底的に追求したトヨタの生産ラインとまったく違うんですよ」と聞いていたので興味MAXだったけれど、予想の斜め上45度といったイメージ。

 結論から書くと、GRファクトリーの生産方法なら、ポルシェやランボルギーニのようなクルマだって作れると思う。以下、わかりやすく紹介したい。

 まずボディ骨格の組み立て。通常であれば1つのラインを1工程ずつ溶接していく。最初にフロア。1台分動き、サイドパネル。さらに動いてルーフといった具合。

ボディを補強するためノーマルのヤリスの3700に対し、GRヤリスは4500ものスポット溶接を行う
ボディを補強するためノーマルのヤリスの3700に対し、GRヤリスは4500ものスポット溶接を行う

 ところがGRファクトリーは動かさずに組み上げる。さまざまな場所にスポットを打つため汎用の溶接ロボットを使うのだけれど、溶接箇所に合わせヘッドを自動で交換しています。

 どういったメリットがあるのか? ラインで流すと、作れる車両は基本的に同等の溶接箇所数&同じような溶接場所じゃなければダメ。同じ時間内(専門的にはタクトタイムと呼ぶ)にできる作業量ということです。

 1台ずつ組む方法なら、まったく違うボディ形状や、全く違う溶接箇所数で時間が違ったってOK。極端なことを書けば、軽自動車とスーパーカーを同じように作れてしまう。このやり方だとどんなクルマでも組み立てられます。

 続いて部品などを取り付ける工程になる。ここでの「凄いね!」は、作業内容の多さ! 通常の生産ラインだと、1タクトの作業内容はそれほど多くない。GRファクトリーのある元町工場で一番短いタクトタイムのラインは60秒。一般的に60~90秒といったあたり。

ボディ精度の検査は厳格。3次元測定器で基準値とのズレを測定し、足回りの部品組付け工程での最適化に生かされる
ボディ精度の検査は厳格。3次元測定器で基準値とのズレを測定し、足回りの部品組付け工程での最適化に生かされる

 60秒でできる作業内容と言えば、最大で3つ程度。ワーカーは3つの仕事だけ覚えればいいということになる。少なければ誰でもできるし、すぐ熟練するだろう。

 GRファクトリーはタクトタイム10分! それだけ作業内容が多いということになる。見ていると、一番ワーカー数の多いタクトは少し大げさに言えば渋谷のスクランブル交差点だ。6~7人がさまざまなパーツを持ち、いろいろな場所に取り付けていく。

 動線も練られており交錯しない! そして1人の装着部品が多いのなんの! 相当レベルの高い人じゃないと無理。思わず「給料同じですか?」と聞いちゃいました。

 答えは「同じです」。あらま! 聞けば仕事の面白さに加え、作っているクルマから生まれるプライド、そしてサーキットやラリー現場に行く視察もあるという。ここはモチベーションをプライスレスで高める工夫があるんだと思う。

 パーツを取り付けていく工程も、生産できる車種はフレキシブルに対応ができるそうな。GRヤリスとGRカローラに混ざり、ミドシップのスーパーカーを流すことだって大いにあり得ると思った次第。

足回りのアーム類は部品の穴の位置を測定し、ボディにマッチする部品が選ばれる。またブレーキ、ダンパーなども計測され左右のバランスがとられる
足回りのアーム類は部品の穴の位置を測定し、ボディにマッチする部品が選ばれる。またブレーキ、ダンパーなども計測され左右のバランスがとられる

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