スズキが今後10年先を見据えた技術戦略を発表した。そこではスズキらしいさまざまな取り組みが紹介されたのだが、中でも目を見張ったのが軽量化だ。安全や電動化が叫ばれる中で、なんとスズキは車重500kg台のクルマを作るというのだ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:スズキ
■2トン車の軽量化とは難易度のレベルが違う!
7月17日に行われた技術戦略発表会では、スズキの行動理念である「小・少・軽・短・美」という言葉に沿ってさまざまなチャレンジが紹介された。中でも注目を集めたのが「軽」の領域だ。
ここでスズキはとんでもない挑戦を明らかにした。将来登場する次世代アルト(10代目)を、現行モデルより100kg軽くするというのだ。
ちなみに9代目アルトの平均車重は680kg。これを580kgにするというのは、2トンのクルマを100kg軽くするというのとは難易度のレベルが1万倍くらい違う。衝突安全や電動化といった近年のクルマの課題を考えればなおさらだ。
その苦しみが並大抵ではないことは、他ならぬスズキが一番知っているだろう。なぜならスズキは8代目アルトを開発した際、「4世代前のアルトと同重量」という目標を設定し、120kgという軽量化(740kg→620kg)に取り組んだからだ。
■ほとんど使わない装備やスイッチがあるんじゃないか?
はたしてどんな手法を使って実現するのか。基本は小さな軽量化の積み重ねにあるようだ。質疑応答に答えた技術統括の加藤専務によれば、たとえばボディパネルで何枚も重ね合わせた鉄板のつなぎ代やわずかに飛び出したボルトの余剰部分にも着目して削っていくとのことだった。
鈴木俊宏社長からは、もっと大胆な言葉が聞かれた。
もともと100kgの軽量化は鈴木社長の「(車重は)600kgを切れないのか」という問いかけから始まったそうだが、さらに社長は「樹脂部品は取れないのか。(鉄板)むき出しの美しさがあるのではないか」「リアワイパーは本当にいるのか。ほとんど触らないボタンや機能があるのではないか」とも尋ねたという。軽量化に賭ける執念と覚悟を感じるやり取りといえよう。
スズキでは、6人いる技術本部長のうち一人に、パワートレーンであろうが電装系であろうが、軽量化に関する全権限を集中させたという。ということは将来のスズキ車は、アルトに限らず「劇的な軽さ」を実現してくるとみて間違いない。スズキのチャレンジに期待したい。
【画像ギャラリー】リアワイパーなんか要らんというスズキの軽量化戦略を見よ!(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方