2019年に、翌年に控えた全チャネル全車併売に伴う車種整理で生産終了となったエスティマ。だが根強い人気があり、エスティマ復活という希望も捨てきれない人は多いのではないだろうか? そこで今回は、エスティマのメリット・デメリットと復活の可能性について考えていこう。
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
■床下格納の3列目とスーパーリラックスモードが凄かったのよ
まずは最終型のエスティマが、どのようなスペックだったのか確認しておきたい。
ボディサイズは全長4,820mm×全幅1,810mm×全高1,760mmでホイールベースは2950mm、最低地上高160mmである。エンジンは2AZ型の2.4Lガソリンで、THSIIを組み合わせたハイブリッドも用意されていた。
プラットフォームは先代のアルファード・ヴェルファイアと同じ、新MCプラットフォーム。乗車定員は7名8名が用意されたが、圧倒的に7名が人気だった。
3列目シートが床下格納できるのが、アルファード・ヴェルファイアとの大きな違いであり、2列目シートを最後尾までスライドさせる「スーパーリラックスモード」が、エスティマの大きな特徴だ。
2016年のマイナーチェンジでは、フロントデザインを一新。今のトヨタ車の特徴でもあるキーンルックを取り込み、ツートンカラーのボディ色を採用している。また、衝突回避支援パッケージのトヨタセーフティセンスCを全車に標準装備した。
■マイナーチェンジでエンジン・安全性能と見直せる箇所は多くあった
ただ、このマイナーチェンジには、上級車格であるアルヴェルの存在を意識してか、少し納得のいかない点がある。
まずはエンジン。エスティマと言えば、いろいろな意味で話題の2AZがお決まりなのだが、アルヴェルに載せた2AR型を使うという選択肢はなかったのだろうか。2.4Lエンジンを引っ張りすぎたせいで、ハイブリッドシステムもふた昔前のモノを使っていた印象だ。
そして新設定された予防安全装備がもっとも不可解なポイント。トヨタセーフティセンスP(当時の呼称)を載せてもいい車格だったにもかかわらず、機能が簡略化され制限されたCを載せた。プリクラッシュセーフティシステムこそあるが、レーダークルーズコントロールはついていない。
アルヴェルには当然のように全車速追従式のレーダークルコンが装備されていただけに、この差はあまりにも大きすぎた。
最終型の改良には、やりきれない部分が多かった。エスティマの進化は道半ばで止まってしまっていたのではないだろうか。
■エスティマがTNGAで復活したら? 最新を行くのがエスティマだったはず!
2023年登場の現行型アルヴェルは、GA-Kプラットフォームを採用し、走行面でも機能面でも、大幅な進化を遂げた。クラウンシリーズやRAV4にも使われているこのプラットフォームで、エスティマをフルアップデートしたらどうなるだろうか。
2.5LダイナミックフォースエンジンにHEVを組み合わせ、トヨタセーフティセンスは最新世代を載せられる。足回りは専用設計にして、セダンのような安定感が欲しいところだ。
イメージとしてはクラウンクロスオーバーの全高を200mm伸ばして、3列シートとスライドドアを付けた感じ。もちろんスーパーリラックスモードと3列目シートの床下格納は、先代から引き継いでほしい。
役割としては、セダン・SUV・ミニバンカテゴリーを繋ぐもの。各カテゴリーの要素を入れながら、プリウスやノア・ヴォクシーからの車格アップユーザーが、一度立ち寄る中間地点を作りたい。
こうして考えていくと、エスティマ復活は不可能な話ではないし、ラインナップの中に必要な存在だと思う。セダンのようなドライバビリティに、流麗なボディライン。ミニバンでも「箱」ではない価値が、見直される時期ではないか。
エスティマの、あまりにもあっさりしすぎた勇退の花道は、近い将来の復活を予感させる。
ミニバンだけど、ミニバンっぽくない。様々なカテゴリーの橋渡しをし、自身も各所で役割をこなせるオールマイティなエスティマ。彼がまた日本のミニバン市場を熱くし、かき回してくれることを願っている。
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