「上手な運転」ときいて、あなたはどのような運転を思い浮かべますか?? 昔のクルマ漫画に登場するような、峠道やサーキットなどを速く走るための、いわゆるドライビングスキルを思い浮かべる人もいるかと思いますが、日常の運転シーンにおける上手な運転とは、急ハンドルや急ブレーキをすることなく滑らかに走ることができ、高速道路での合流やレーンチェンジ、追い越しもスムーズに行えることだと筆者は思います。サーキットを走るわけではない多くの人にとっては、これが「上手な運転」ではないでしょうか。
この「上手な運転」ができるようになるには、クルマにたくさん乗って学ぶ「経験」が必要となってきますが、いくつかのポイントを押さえることで、上手な運転に近づくことはできます。運転が上手い人が無意識にやっている3つの技術をご紹介します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_comzeal/写真:Adobe Stock、写真AC
安全な運転は、正しい運転姿勢から!!
日常の運転シーンにおける「運転の上手さ」とは、「安全」かつ「快適」な移動ができること。このうち、「安全」な運転操作を行うにあたって、基本的でありながら重要なのは「正しい運転姿勢」です。自動車教習所の技能教習でも、真っ先に教えられたのではないでしょうか。自分の身体にあった位置にシートやステアリングホイール、ミラーを合わせることができなければ、無理なく正確かつ確実な運転操作をすることが難しくなってしまいます。
腰をシートの奥まできっちりとつけ、左足がフットレストにきちんと乗る位置に、シートの前後位置を調節しましょう。このとき、アクセルペダルとブレーキペダルが無理なく奥まで踏み込めるのも確認してください。次に、ハンドルの高さと奥行きを、チルトと(あれば)テレスコピックで調節します。ハンドルの奥のメーターがよく見える高さで、ハンドルを「9時15分」の位置で握った状態で180度回したときに肘が伸び切らないような位置に、シートバックの傾き調節も使って調節します。あとは、サイドミラーとルームミラーを合わせればOKです。
やや窮屈に感じるかもしれませんが、自動車メーカーでは、この姿勢を基準に、視界性能や座り心地、さらには衝突安全性を確認しているため、この姿勢でないと、メーカーが想定した性能を享受できず、そのクルマを手足のように操作する「上手な運転」にはたどり着くことが難しくなります。「ヘッドレストが前傾していて首がきつい」という人は、シートバックを少し倒してみてください。ハンドルが遠くなったぶんは、シートの前後スライドや、ハンドルのテレスコピックで調節しましょう。シートバックを倒すことで、前傾しているヘッドレストが垂直に近い状態になるはずです。
ブレーキは止まる瞬間に「ちょっとだけ戻す」
そして、「快適」な移動のためには、アクセルペダルとブレーキベダルの丁寧な操作ができるようになることが必要。特にブレーキ操作は、その人の運転技術がすぐにバレる操作です。ブレーキ操作が上手くなるコツは、クルマが止まる瞬間に、ブレーキを踏む足の力を「ちょっとだけ戻す」こと。これでいわゆる「カックンブレーキ」となることを防ぎ、なめらかにクルマを停止させることができます。
ここからさらに、ブレーキペダルをやんわりと踏み始め、減速Gを一定に保つことができるようになると、上級者のブレーキングに近づきます。より上級を目指すなら、同乗者がいつから減速し始めたか分からないような運転を目指してください。
アクセルペダルも同様で、意味もなくスピードが乱高下するようでは、運転が上手いとはいえません。靴の中の足の親指のわずかな力のかけ具合で、アクセルペダルを、1ミリにも満たない幅で、踏みこむ量をコントロールするくらいの精度で加速度をコントロールができれば、「快適な移動」といえるでしょう。
さらに上級を目指すならば、ACCに頼らずとも、登坂でも下り坂でも速度が一定になるよう心がけましょう。道路は平らに見えるようでも、わずかに登っていたり、下っていたりしますが、このとき、アクセルペダルの踏み代が一定だと、車速は上がったり下がったりしてしまいます。速度が落ちやすい登坂でも、逆に速度が上がる下り坂でも一低速走行をすることができたら、りっぱな運転上級者。速度メーターは常に気にしておきましょう。
ただ、これらがどんなにスムーズにできたとしても、スピードが出すぎていると、快適な移動ができているとはいえません。道路には少なからず凹凸があり、速く走るほどクルマは揺れてしまいます。制限速度内であっても、凹凸が激しい道では速度を落とす配慮をしましょう。
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コメントの使い方トルコンのAT車は止まる瞬間に軽くブレ-キの踏力抜けば、上手に止まること出来ますが、直結タイプ(電磁クラッチ)車はそうは行きません