■日本の「イプシロン」はなぜランチアじゃない?
悲観的な話が続くランチアだが、そうしたなかイプシロンは3月のイタリアでの新車登録台数が4585台と好調。
1月から3月の第1四半期では、1位のフィアットパンダ(約2万9000台)、2位のフィアットプント(約1万8000台)に次いで、イプシロンは3位(1万1640台)を維持している。
「秘密は“小さくてもシック”という、歴代に受け継がれてきた商品コンセプトにあると思います。これがイタリア人、特に女性に好まれています。
イタリアではイプシロンはもはやランチアではなく、『イプシロン』として認知されているのです。近い将来ランチアではなく、どんなブランドに変わろうと、イタリア人に愛され続けるでしょう。その証拠に3代前のイプシロン(Y10)はアウトビアンキブランドだったのですから」
とは大矢氏。
ただ、欧州ブランドの好きな日本人には「なぜイプシロンをランチアで売らないの?」という意見も少なくないはず。日本ではクライスラーで売る理由をフィアットクライスラージャパン広報に聞いたところ……。
「フィアットクライスラーグループではランチアブランドとクライスラーブランドをグローバルレベルでの商品ラインアップに統合し、それぞれのマーケットごとに最適な商品を、どちらかのブランド名で販売する方針をとっています。
ランチアはヨーロッパ向けのブランドであり、日本はクライスラーブランドとして販売するマーケットと位置付けられ、イプシロンをクライスラーブランドにて販売しています」
とのこと。
現時点で、ランチアブランドではイギリスとアイルランドを除くヨーロッパで販売。そのほかの国(イギリス、アイルランド、日本など)ではクライスラーブランドで販売されている。
また、日本でランチアじゃない理由には、日本にはクライスラーのディーラーはあるが、ランチアのディーラーはないという販売網の事情もあるだろう。
それにしても、気になるのは「ランチアブランドは本当に消滅してしまうのか?」だが……。
「ランチアブランドは今後もヨーロッパ向けのブランドとして継続されます。ただし将来的にイタリアで開発されるモデルはイプシロンのみとなり、その他のランチアブランドの商品は北米のクライスラー本社での開発となります」
とは、前出のフィアットクライスラージャパン広報。
当面ランチアブランドはなくならないとのことだが、それでもラインアップが縮小される方向にあるのは間違いなさそうなだけに、クルマ好きにとってはあまりしっくりこない話。
それに、名車デルタHFインテグラーレなどの復活も当然期待できないんだろうなぁ……。そう思うと、やっぱり残念でならない。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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