各メーカーからさまざまなモデルがリリースされているミニバンのなかで、異彩を放つのがデリカD:5。ミニバンにSUVの機動性をプラスした唯一無二の存在で、デビューから17年経った現在でも新車で販売されているロングセラーだ。そんな超個性派に改めて注目してみよう。
文/木内一行、写真/三菱
【画像ギャラリー】ご長寿モデルだからこその魅力がある!! デリカD:5を深堀り(10枚)画像ギャラリー■ミニバンとSUVのクロスオーバーという無類の個性派
デリカは、三菱の中でも特に長い歴史を誇るモデルだ。1968年に初代がデビューし、2代目は「スターワゴン」のサブネームを付与して登場。4WDを初めてラインナップして独自のキャラを作り上げると、2代目スターワゴン、続くスペースギアでもそのコンセプトを貫き、唯一無二の存在として多くのファンに支持された。
こうしたデリカのアイデンティティを継承しながら、新時代にマッチするようアップデートされたのが、2007年に登場したD:5である。
「デリカの5代目」であることを意味するD:5の魅力は、なんといっても歴代デリカから受け継いだ1BOXスタイルならではの広い居住空間と、本格SUVを凌駕する優れた悪路走破性だ。
スクエアなフォルムのボディは高い走破性やデリカとわかる存在感を表現したもので、シンプルながら力強いイメージを強調。ボディサイズは、先代スペースギアよりも地上高を20mm増大させながら全高を100mm低くし、大径タイヤを組み合わせることで安定感のある佇まいを実現している。フロントフェンダーは柔軟性、復元力が高い樹脂製としたことも特徴だ。
パッケージングの最適化により室内高が100mm拡大した居住空間は、環状骨格構造「リブボーンフレーム」を強調した造形のルームビームガーニッシュを採用してSUVらしい力強さを見た目でアピール。
さらに、利便性を高める工夫も盛り込まれており、各所に収納スペースやマルチフックなどを設置。2列目および3列目にはロングスライド機構を採用し、さまざまなシーンに対応できるようにしている。
そして、パジェロ譲りの高い悪路走破性を生み出すのが、アウトランダーで実績のある電子制御4WDシステム。2WDモード/4WDオートモード/4WDロックモードという3モードを設定するとともに、スタビリティコントロール機能とトラクションコントロール機能を備える「ASC(アクティブスタビリティコントロール)」を組み合わせ、燃費改善と優れた走破性を実現した。
その一方で、前ストラット/後マルチリンクのサスペンションを採用し、操縦安定性や乗り心地が大幅に向上。つまり、高いラフロード性能を実現しつつ、快適性も手に入れたというわけだ。
ちなみに、当初のパワートレインは2.4リッター直4の4B12ユニットと6速スポーツモード付きCVTの組み合わせのみ。詳しくは後述するが、新型エンジンやディーゼルエンジンも後に投入された。
■マイチェン&改良を繰り返し完熟の域に
2007年から現在まで、D:5はマイナーチェンジや改良を繰り返してきた。それらをすべて語るにはスペースが足りないため、主要なものを抜粋してお伝えしよう。
デビュー後初の動きとなったのが、モデルチェンジ約4カ月後に設定された2WDモデル「C2」とエアロ装着仕様「ローデスト」。これらが追加されたことで、より幅広いユーザーニーズに応えることが可能となった。
そして、2009年12月には2WDモデルのみマイナーチェンジし、従来の2.4リッターエンジンから2リッターの4B11に変更。さらに、2011年12月には再び2WDモデルのエンジンを新開発の4J11にチェンジ。
アイドリングストップ「オートストップ&ゴー(AS&G)」も採用し、燃費性能が高まった。
4WDモデルは長らく大きな動きがなかったが、2012年12月にミニバン初のクリーンディーゼル搭載車を設定。ミッションは6速ATで、優れた燃費性能や高い経済性、トルクフルな走りはガソリン車では味わえないものだった。
また、デビュー以来外装に大きな変更がなかったD:5だが、2018年 4月の一部改良でフロントマスクを小変更。さらに、2019年2月には三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」や縦型LEDヘッドライトを用いたマスクを採用するなど、大規模な外装のリファインを実施した。
室内ではインパネの意匠を一新し、先進運転支援システムも大幅に進化。加えて、エンジンは改良を施したディーゼルエンジンのみとなり、ミッションも8速ATに変更するなど、正真正銘のビッグマイナーが行われたのである(ガソリン車は従来型をしばらく継続販売)。
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