ここのところ毎週のように発生するゲリラ豪雨。そして今回ののろのろ台風などなど、道路が冠水する頻度がひと昔前より確実に増えている。路面の水量も瞬く間に増水し、怖い思いをした人も多いだろう。今回は豪雨によって冠水した道路の危険性について解説する。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC
■わずかな水位でもブレーキが効きにくくなりエンジン破損の可能性も
路面の水量によるクルマへの影響について、国土交通省やJAFのテストデータによると、まずブレーキが効きにくくなり、マフラーまで水位が上昇すると、水の浸入によって排気が遮られ、エンジン停止に陥るという。また、路面状況もわかりにくく、縁石との接触や側溝への脱輪などの危険性が伴うので走行しない方が賢明。
さらに水位が車体の床面まで上昇すると、電気系統の故障、運転支援システムのセンサー類の故障などの可能性があり、特にハイブリッドカーであれば肝心のハイブリッドシステムの故障など被害は重症化する。また、エンジン内部に水が浸入してしまうとエンジン破損につながり、筆者の知り合いも同じ理由でエンジン交換を余儀なくなれた。
よくニュースでタイヤの半分程の高さの水位の中を走行しているシーンを目にするが、クルマの故障リスクが極めて高い。まだ走れるから大丈夫という考えは持たない方がいいだろう。その時は走行できても水に浸かったダメージは後々になって出てくる。パワースライドドアの故障や、衝突安全装置の故障などは、冠水道路の走行が原因であることも多い。
ここまではクルマの損傷で済むが、これ以上水位が上昇する場合は人命にかかわってくる。車体が浮いた状態になると、タイヤが空転。前進、後退も不能になる。また、ドアの半分が水につかると、もはや人力ではドアを開けることもできなくなる。こうなったら窓を割って脱出するしかない。
■アンダーパスなど冠水ポイントを普段から把握しておこう
ゲリラ豪雨発生時はできるだけ安全な場所に停止するか、冠水ポイントを避けて走行することが賢明。それでも走行中に急な冠水に見舞われた場合は、水しぶきがエンジンルームに入らないように速度を落とすことと、マフラーからの水の侵入を減らすために低いギアでエンジン回転数を高めにすることを心がけてほしい。
冠水する可能性が最も高い場所が高架下や立体交差のアンダーパス。その他の冠水ポイントは国土交通省をはじめ、各自治体のハザードマップで確認ができる。それによると、下り坂の終点や川沿いなど、想像以上に冠水ポイントが多いことに驚かされる。少なくとも通勤路など走行頻度が高い道路の危険個所は確認しておいた方がいいだろう。
もし駐車中に水に浸かった場合はクルマが完全に乾燥するまでエンジン始動させてはいけない。水位が下がったからといってエンジンを始動した場合、クルマに残った水の影響で電気系統が故障してしまう危険性があるからだ。販売店などに相談し、クルマを始動させないようにレッカー移動させ、クルマの点検を行ってほしい。
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