■優勢なのはどちらのチャージャー?
ここまで見てきたように、ターボとスーパーチャージャーにはそれぞれ利点と弱点があり、従来は双方でのすみ分けが行われていた。
しかし、現在の市販車ではターボチャージャーが圧倒的な優位に立っている。
その理由は、世界的に以前よりも燃費や排ガスを重視するようになったことだ。
エネルギーロスが少なくシステムも軽いターボなら、エンジンを小さくして燃費を抑え、出力はターボによる過給で補うという方法がとれる。
これが現在の「ダウンサイジングターボ」であり、高出力を狙うスポーツカーではないのにターボを装備するモデルも増えている。
それに比べて損失の発生するスーパーチャージャーはイメージ的に不利になり、実際に燃費効率も低下するため、現行の国産車でスーパーチャージャーを装備するモデルはマツダのMAZDA3のみとなった。
MAZDA3のSKYACTIV-Xエンジンにはスーパーチャージャーが装着されているが、メーカーではこれをあえて「エアサプライシステム」と呼んでいて、従来のスーパーチャージャーとは異なるものであることを強調している。
EV(電気自動車)の台頭など、世界のクルマのなかで内燃エンジンの使用率は減る傾向にあるが、省燃費にも貢献するターボの魅力はまだまだある。
これに対して劣勢のスーパーチャージャーだが、今後、新素材の採用などにより従来を大きく上回る効率を発揮するスーパーチャージャーが生まれる可能性は否定しきれない。
クルマの歴史は技術の進歩の歴史でもあり、将来的にはより効率に優れたターボ&スーパーチャージャーの登場にも期待したい。
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