■ハイブリッドがe:HEVになってBEV感覚の滑らかさに:片岡英明
先代からの正常進化だが、多くの点で高得点を叩き出すトータル性能の高いコンパクトミニバンへと成長した。
デザインは好みの問題だが、多くのファミリー派が「いいね」と思えるフレンドリーなデザインだ。特にプレーンなフロントマスクのAIRは、歴代モデルのなかで最高の出来栄えだと思う。水平基調のインパネからの視界はいいし、ファブリック張りの加飾パッドも見栄えのよさに貢献している。
キャビンの広さは大差ないが、シートの変更によって座り心地がよくなった。3列目は相変わらず座面までの高さが足りないが、先代より快適だ。
肝心の走りは、e:HEVに変わったハイブリッド車の洗練されたパワーフィールが好印象である。
リニアシフトコントロールの気持ちいい加速に加え、BEV感覚の滑らかさも手に入れた。エンジンの不快なノイズと振動も減っているので、ひとクラス上になったように感じる。
スッキリしたパワーステアリングの操舵フィールとしなやかに動くサスペンションも大きく進化した部分だ。コーナーではロールの収束が早く、背の高さを意識させない。これも美点のひとつに挙げられる。乗り心地もよくなっているなど、商品としての魅力は大きく広がった。
●POINT採点チェック
・ハンドリング……8点
・加速性能……8点
・3列目の広さ/快適性……6点
・内外装質感……7点
・乗り心地……8点
・コストパフォーマンス……8点
■コミコミ300万円超のクルマとしては物足りない面も:清水草一
新型フリードはとてもよくできていて、これといった欠点はまったくなかった。ただ、飛びぬけた魅力もないなぁ、というのが正直な感想だ。
外観は最近のホンダのデザイン路線に沿って、シンプルそのもの。ただ、シンプルすぎて単純に感じられた。
ポイントは、フロントウィンドウがかなり寝てるわりにリアが直立していて、全体のバランスがイマイチなことだ。それで「いいもの感」が薄くなってしまった。質感が足りないんだよね。それをどう評価するかだなぁ。
インテリアもフィットやステップワゴンと同じ癒し路線。いいと言えばいいんだけど、フィットやステップワゴンよりさらに質素なイメージだ。なんかちょっと寂しい。
走りは徹底して癒やし路線。とっても乗り心地がいいし、動力性能も日常ユースにはぜんぜん不足はない。ハイブリッドなら燃費もいい。ただ、コミコミ300万円を超えるクルマ(e:HEV)としては、ちょっと物足りない面もある。
家族の日常の足にはピッタリだと思うけど、ピッタリすぎて余裕がないというか……。人間、多少はムダが欲しかったりするじゃない。すべてが機能的で想定の範囲内で、驚きがないのが残念。
●POINT採点チェック
・ハンドリング……7点
・加速性能……7点
・3列目の広さ/快適性……8点
・内外装質感……7点
・乗り心地……9点
・コストパフォーマンス……7点
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