■後席の足元空間はひとクラス上の広さを誇る: 渡辺陽一郎
日本メーカーの多くは、世界販売台数の80%以上を海外で売る。したがって海外製の日本車には国内市場に適さない車種も多いが、フロンクスは違う。
インドの税制に合わせた全長が4m以下のボディは、最小回転半径も4.8mに収まり、混雑した街中でも運転しやすく、全高が1550mmを下回るから、SUVでは珍しく立体駐車場も利用しやすい。内装も上質で、輸入車なのに国内で使いやすい。
さらにインドでは上級のネクサブランドで扱われる事情もあり、4名乗車を前提に開発された。
後席の足元空間が広く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシが2つ収まる。全長が約4.5mに達するカローラクロスと同程度だ。後席は座り心地も適度に柔軟で、ファミリーでも使いやすい。
注意したいのは乗り心地だ。燃費向上のために前輪の指定空気圧を250kPaに高めた影響もあり、路上の細かなデコボコを伝えやすい。後席は着座位置が高いわりに天井は低いから、乗降時には頭を下げる必要がある。
全長のわりに後席が広く、リアゲートを寝かせたから、荷室容量は大きくない。つまりSUVとしての特徴は乏しいが、上質で居住性も優れ、走りも満足できるから幅広いユーザーに適する。それすなわち人気車になる。
●POINT採点チェック
・ハンドリング……7点
・加速性能……6点
・静粛性……6点
・内外装質感……8点
・乗り心地……5点
・取り回し性……9点
■日本向けモデルのクオリティは想像の倍!! 価格次第では大ヒット:小沢コージ
メチャクチャ予想外! エクステリア、インテリア、走りとすべてのクオリティが想像の“倍”。実は2023年から新型フロンクスの存在は知っていて、インドで生産される全長4m以下の世界戦略コンパクトSUVなのはわかっていた。
サイズ的にはトヨタ ライズのガチライバルと想像し、勝手に2023年11月にLAで行われた世界カーオブザイヤー試乗会で南米向けフロンクスにチョイ乗りもしていた。
ところが先日国内向けプロトタイプに乗ってビックリ。内外装質感はライズどころかカローラクロス並み。
ボディサイズこそ変わってないが、アチラでは上級グレードにしか付かない3連LEDデイタイムランニングライトやLEDリアコンビランプが日本向けは標準。
中身も随所に日本専用で、アチラではFFしかないのに4WDを専用開発したわ、先進安全は付かないのに最新デュアルセンサーブレーキサポートII標準だわ、電動パーキングブレーキまで標準。
内装も質感高く、シートは日本専用の上質合皮コンビ表皮だわ、インパネも一部上質マテリアルに変わってるわ、1.5Lマイルドハイブリッドもほぼ日本向け専用でバネ&ダンパーや電動パワステのセッティングも専用。結果走りは上質かつ静か。これで250万円前後なら絶対売れる!
●POINT採点チェック
・ハンドリング……7点
・加速性能……6点
・静粛性……8点
・内外装質感……8点
・乗り心地……7点
・取り回し性……10点
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