トヨタの超人気クロカンSUV「ランドクルーザー300」。その走破性と耐久性の高さから、世界中で支持されている人気モデルだが、あまりの人気ぶりに、生産能力を大きく超える受注を抱え、2年以上も注文は停止したまま。買いたくても買えない状況が続いている。
だからといって、現在の日本市場には、ランクル300に匹敵するモデルはほかにはなく、欲しくてもとにかく待つしか手がない状況。かつては日産にもサファリというクロカンSUVがあったが、2007年に国内販売が終了して以降、再開されていない。
ただし、サファリはいまも海外で「パトロール(北米名ではアルマーダ)」、またINFINITI「QX80」としても活躍しており、パトロールには、2024年9月にフルモデルチェンジをした新型モデルも登場している。ぜひともこの新型パトロールを日本市場にも導入してほしいものだが、なんとかならないのだろうか。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、TOYOTA
ランクルに負けていない、豪華絢爛なクロカンSUV
2024年9月4日にアブダビで世界初公開となった、日産新型パトロール。型式は先代パトロールY62の流れを受け継ぐY63だ。2+3+3の8人乗りと、2列目キャプテンシートの2+2+3の7人乗りが設定されている、まるで巨大な戦艦のようなクロカンSUVだ。
パワートレインには、3.5LのV6ツインターボエンジンを搭載。最高出力425PS、最大トルク700Nmは、ランクル300のV6ターボエンジン(最高出力415PS、最大トルク615Nm)超えるスペックだ。
基本的なスタイリングは先代を踏襲しているが、新型では余計な加飾を削り、直線基調のシンプルなデザインに。ただ細部は、よくつくりこまれており、フロントマスクのダブルCマークのヘッドライトや四角いフロントグリル、リアの大型テールランプをインストールしたリアバンパーなどが、かなりスタイリッシュだ。
インテリアも豪華だ。メーターはもちろんフル液晶タイプで、14.3インチの巨大モニター2枚が並んだ圧巻の見栄え。インパネには各種操作用の物理スイッチが多くレイアウトされており、シフトチェンジは日本のセレナと同じ、スイッチ式となっている。4WDモード切替もスイッチで行い、走行モード切替はダイヤルで選択するタイプだ。揺れる車内での操作を考えてのことだろう。ランクル300に負けていない、豪華絢爛なクロカンSUVだ。
どれだけパトロールが素晴らしいクルマであっても、ランクルのようには売れない
中東を中心に販売されているパトロールは、現地ではランクルとライバル関係にある。迫力あるボディサイズとデザインをもつ新型パトロールは、ランクルのようなクロカンSUVが好きな人にとっては、かなり魅力的にみえると思われ、ランクルの異常な人気ぶりを見れば、日本でも売れそうに思える。しかも製造は日産九州工場のみ。であれば、日本でちょっとくらい販売してもいいのでは?? とも思える。
だが、ランクル300の異常な人気ぶりは、「海外輸出で儲かる(もしくは損をしない)クルマ」であることが、もっとも大きな理由。もちろん、日本でも純粋にランクル300やサファリのような大型クロカンSUVを愛する人は多くいるはずだが、ビジネスが成立するほどの需要は残念ながらない。サファリもランクル同様に国内で販売され続けていればよかったかもしれないが、いまパトロールを日本に導入したところで、どれだけパトロールが素晴らしいクルマであっても、ランクルのように売れることは考えにくい。「現地で販売すれば十分」と日産が判断するのも当然だ。
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