サマータイヤよりも「雨に強い」シンクロウェザーは安心感の高いタイヤだ
驚くべきはウエット性能。テストコースの散水旋回路で定常円旋回を試すと、ル・マン5+よりも3~4km/h速度を上げ、約60㎞/h弱でもラインを外さず、安定したグリップを見せるのだ。
速度を上げると水膜を切り裂いて排水し、トレッド面がしっかりと路面にコンタクトしている感覚が伝わってくる。タイヤが柔軟に接地しているため滑り出しの挙動も穏やかで、アクセルを抜くとスッとラインを戻すのでコントロールしやすいのだ。「水スイッチ」の効果をハッキリと体感した。ちなみにスタッドレスタイヤのWM02は旋回速度50km/hが限界で、その時点での手応えもかなり曖昧なものとなっていて、明らかに排水性能の限界だった。
水や温度に反応してタイヤのゴムが柔軟性を変化させる最新技術
シンクロウェザーの技術的ポイントとなるのがアクティブトレッドと呼ばれるゴム配合技術だ。一般的にタイヤのトレッドゴムは温度が高いと軟らかくなり、低温下では硬くなり柔軟性を失う特性がある。スタッドレスタイヤは低温下での硬化を防ぐシリカや軟化剤を配合し、氷雪路でのトレッドゴムの密着性を高めるようにしている。
しかし、このゴムではサマータイヤとしてのガッチリとした剛性感やシャープな応答性を両立させるのは難しい。スタッドレスタイヤはブロック形状やサイプの入れ方などでドライ路面での操安性やグリップ性能を高める設計を工夫してきたが、やはり限界はある。
そこで住友ゴムが新開発した、アクティブトレッドのキーとなるのが「水スイッチ」と「温度スイッチ」だ。
・水スイッチ
トレッドゴムに配合されるポリマーは、通常「共有結合」と呼ばれる強固な化学的結合で結びついており、これは加水などで緩むことはない。
アクティブトレッドではこの共有化都合の一部を加水により緩む「イオン結合」に置き換えることで、トレッドゴムが水分に触れた際に柔軟化してウエット性能を高める効果を発揮する。イオン結合は水分が抜けた際に再結合し、ゴムの剛性が復活する可逆性を有することが点が大きなポイント。
・温度スイッチ
従来、グリップ成分はポリマーと一体だったものを、一部成分をポリマーから分離して機能する材料を新開発。常温下ではサマータイヤ同等の剛性を保ちながら、氷雪路面の低温下ではスタッドレスタイヤ同等の柔軟性を発揮するゴムとしたのが「温度スイッチ」。
これらの新技術を組み合わせることで、夏タイヤとスタッドレスタイヤの性能を、それぞれのタイヤが望まれる環境下で適宜発揮できることこそシンクロウェザーが二刀流と言われる理由なのだ。
シンクロウェザーはオールシーズンタイヤの常識を覆す意欲作だ。冬を迎える今こそ、シンクロウェザーの威力を体感できるタイミングだ。
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