BEVシフトが叫ばれてきた自動車業界だが、ここへ来てその流れは少しずつ現実路線へ引き戻されつつある。充電インフラやコスト、さらには社会環境まで見渡していくと、いま改めて存在感を増しているのがハイブリッドだ。ではこの先、HEVはどこまで進化し、どんな立ち位置を担っていくのだろうか。
文:中谷明彦/画像:ベストカーWeb編集部、トヨタ、ホンダ、マツダほか
【画像ギャラリー】まだハイブリッドを「つまらない」と思っているの?? フォレスター S:HEV、CX-60、シビック e:HEV RS……運転するのが楽しいと評判なクルマをイッキ見!(23枚)画像ギャラリー目標を掲げるだけでは届かなかった完全BEV社会
今、自動車産業は大きな転換点にある。バッテリー電気自動車、いわゆるBEVが未来のモビリティの中心になると位置付けられ、世界の政府や自動車メーカーは電動車への完全移行を高らかに宣言してきた。欧州を中心とした環境規制の強化もあり、あたかも内燃機関は近い将来消滅するかのような論調が広がっていたのは記憶に新しい。
しかしその流れは、ここにきて明らかに変化の兆しを見せている。 背景にはいくつかの要因がある。ひとつは国際情勢の不安定化だ。中東情勢やウクライナ戦争などの影響により、石油価格は大きく変動し、各国のエネルギー政策にも再考を迫る動きが出ている。
また米国のトランプ政権では関税政策や環境政策の見直しが議論され、BEVに対する優遇措置も再検討の対象となっている。
だが、最も重要な問題は別にある。それはBEVに不可欠な充電インフラとバッテリーコストが、依然として十分な水準に達していないという現実である。BEVは補助金なしでは価格競争力を持ちにくい。また都市部では、自宅で充電設備を確保できないユーザーが増えている。マンション住まいが一般的な大都市では、駐車場に充電設備がないケースが多く、月極駐車場の価格も高騰している。
まさかここまでハイブリッドが普及するとは……
例えば東京都心では、軽自動車を所有するだけでも3〜4万円/月の駐車場代がかかることは珍しくない。さらにコインパーキングも年々値上がりしている。こうした環境の中では、自動車を所有するよりも必要な時だけレンタカーやカーシェアを利用すればよいという考え方が、若い世代を中心に急速に浸透している。
このような社会状況を踏まえると、BEVが近い将来モビリティの中心になると断定するのは、やや時期尚早と言わざるを得ない。技術的にも社会インフラ的にも、解決すべき問題はまだ多い。そこで改めて注目されているのがハイブリッドシステム(HEV)である。
ハイブリッドの歴史を語る上で欠かせないのが、1997年に登場した初代プリウスだ。開発したのは言うまでもなくトヨタ自動車である。「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーとともに登場したトヨタ プリウスはガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせた画期的なハイブリッドシステムを搭載していた。
その技術の革新を担うのが、いわゆる動力分割機構である。遊星歯車を用いてエンジン、モーター、発電機の出力を最適に分配するこの機構は、極めて効率が高く、現在に至るまでハイブリッド技術の基礎となっている。自動車工学の歴史においても、極めて実用度の高い発明であり、いわば自動車技術のノーベル賞と呼ぶに値する発想だった。
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