900台が覆面パトカー! まさかのスズキ製サルーン「キザシ」の素性がぶっ飛んでる!

■ミドルセダンなのにスイスポ並みに曲がる!

ハンドリングの楽しさはいまでも語り草だ
ハンドリングの楽しさはいまでも語り草だ

 開発時のベンチマークは、特定のモデルはなく様々なモデルを広く見ていたそうだが、ハンドリングに関しては、FFレイアウトを採用しながらもBMWに匹敵する走りに定評があった「フォード・モンデオ」だったそうだ。

 当時の試乗記を振り返ると、「大柄なミドルセダンなのにスイフトスポーツのように曲がる」と高いハンドリングの評価の一方で、パワートレインはパワー不足や事務的なフィーリング、日本市場では硬めの乗り心地、さらには内外装の細部の質感や精度など、煮詰めや改善が必要な部分があった。しかし、一度も手が入ることはなく2015年に生産終了……。

 ちなみに日本での累計登録台数は3379台だが、その中の約900台が覆面パトカー用だったそうだ。市販モデルと覆面パトカーの違いは、外装はフォグランプの有無、内装はシート(市販モデルの本革に対して布)とステアリング(市販モデルの本革に対してウレタン)と細部が異なっていた。

 今後、スズキからキザシのようなモデルが登場する可能性はほぼゼロだろう。ビジネス的に見ると失敗作の烙印を押さざるを得ないが、「スズキの挑戦」と言う意味では非常に意義のあるモデルだったと、筆者は分析する。現在も所有している人がいたら、その存在を後世に伝えるためにも、大切に乗ってほしい。

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