■3列シート車はセレナがあればいい、と考えているのでは
ただ、いま日産がこの3列目シートコンパクトカーにチャレンジしないのは、キューブキュービックの失敗がどうこうではなく、やはり、3列目シートコンパクトカーは、国内専売モデルとなってしまうことにあるのだろう。日産はここしばらく、海外で売れるクルマ以外は登場させていない。
道路や駐車場は狭い日本ではコンパクトカーが人気の中心だが、コンパクトでありながら、いざというときにしっかり多人数乗車ができたり、家族でレジャーに出かけたりといろいろ便利に使えるマルチパーパスさも求められる。何でもかんでも詰め込むのは日本独特の傾向であり、大人数ならばそれなりの大型車を求める海外では、そんなコンパクトカーは求められない。
日産としては、日本で絶対に売れる確証がもてないクルマには、余計なリソースを割くことはできないのだろう。コンパクトSUVである「キックス」も、もともとは南米や東南アジアをターゲットに開発されたものであり、タイ生産のものが日本に入ってきている状況だ。e-POWERはいいパワートレインだと思うが、キックスのデザインやパッケージングがなんだか日本人にはしっくりこないと感じるのはそのせいだろう。
新型のコンパクト3列シート車を出したところで、既存のノートやノートオーラ、サクラの販売台数が減るだけ、という懸念もあるのかもしれない(そんなことはないと思うが)。こうしたことから、日産は、3列シート車はミドルクラスミニバンのセレナがあればいい、と考えているのだろう。
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キューブのような面白いデザインとパッケージ性能でしっかりと実用性のある3列目シートモデルをつくることができれば、またこのカテゴリを盛り上げてくれる面白いモデルとなると思う。日本市場は世界的に小さい規模かもしれないが、日産の内田誠社長は社長就任時の会見で「日本は日産にとってのホームマーケット、非常に重要なマーケットだ」としていた。日産はもっと自信を持っていいと思う。ぜひともチャレンジをしてほしい。
【画像ギャラリー】実用性はイマイチながらデザイン性は高かった、日産の3列目シートコンパクトカー「キューブキュービック」(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方現在キューブキュービックに乗っています。もう次期キューブキュービック待ちくたびれました。フリードを真剣に検討しています。日産さようなら。