「ジウジアーロの最高傑作」とも評された初代フィアット パンダ。その後継モデルはBセグメント車となり、名前も「グランデパンダ」へ。そのグランデパンダのBEV版に試乗。初代の四角いデザインを取り入れつつ現代風に進化していた!!
※本稿は2025年4月のものです
文:キムラオフィス(木村好宏)/写真:ステランティス(Fiat)ほか
初出:『ベストカー』2025年5月10日号
好調のフィアットから「パンダ」の名を継承するニューモデル登場
2024年に販売台数532万台で世界ランキング4位の座を確保したステランティスグループのなかで、プジョーと並んで20%のシェアを占めるフィアットブランドから、懐かしい「パンダ」を継承するニューモデルが登場した。
1980年代にジウジアーロのシンプルなデザインで市場を席巻した2ボックスの後継モデルは、新型では全長4mへと成長。
Bセグメントになった結果、モデル名も「グランデパンダ」になり、BEVと、101psの1.1L・3気筒ターボエンジンに48Vのモーターアシストを備えたマイルドハイブリッドの2種類のパワープラントが用意される。
今や歴史的建造物となったフィアット本社の屋上にあるオーバルテストコースに現われたグランデパンダは、REDと呼ばれるBEVのスタンダードバージョンで、今や珍しい白いスチールホイールと真っ赤なボディが「カワイらしさ」を演出している。
ベースになっているのはシトロエンC3にも採用されているスマートカープラットフォームだが、「FIAT」のロゴが左に寄った左右非対称のグリルやボディサイドの「PANDA」のプレスなどで個性化を図っている。
インテリアは、ドライバーの正面にはフィアット本社屋上のオーバルテストコースをかたどったダッシュボードに、デジタルコックピットと10.25インチのインフォテイメントタッチスクリーンが収まっている。
パンダロゴがエンボスされたシートやインテリア・トリムの多くはリサイクル材料が使われているが、そのプラスチック表面は固く、仕上げも安っぽい。
ただし空調などにはマニュアル操作ダイヤルが残されており、直感的な操作も可能にしていて使い勝手は悪くない。
居住性は、2540mmというホンダ N-BOXより20mm長いホイールベースのおかげで、後席には大人ふたりを迎え入れる空間が残されている。また、ラゲッジは通常で361L、リアシートを倒せば1315Lのスペースが誕生する。
フロントに搭載されている113psと122Nmを発生するモーターは前輪を駆動。0-100km/hを11秒で加速、最高速度は132km/hまで到達させる。
トリノの市内とその周辺で行われた試乗では、電気パンダはビビッドに走り回った。混雑したイタリアの町での信号待ちからのスタートでは、しばしば先頭に立つことができるほどだった。床下に搭載されたバッテリーのおかげで走りは安定しており、充分にスポーティ。乗り心地も悪くない。
そのバッテリーの容量は43.8kWh(ネット)で、航続距離は最大でも320km(WLTP)に留まる。また、充電時間は通常(AC)で260km分を7時間、急速DCでは32分で200kmまでの走行が可能である。
なお、このグランデパンダの価格はドイツでは2万5000ユーロ(約380~400万円)と発表されている。果たして、このニュー・パンダが日本で発売されるのかどうかは現時点では不明。アメリカには輸出しないとすでに決まっているが、日本への上陸をぜひ期待したい。






















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