マツダとして初めて、ステアフィールを欧州車のような重めで手ごたえのあるものから、軽やかなステアフィールに激変させた新型CX-5。気になるのはマツダらしい、心ときめく「Zoom-Zoom」が失われたのではないかということ。はたして、マツダらしさは残っているのか、新型CX-5に試乗!
文:ベストカーWeb編集部/写真:茂呂幸正、マツダ
新型CX-5の走りのテイストが激変!
先代CX-5はほんとにいいクルマだった。遠距離もなんのその、どこまでも運転したくなる、走りのよさが光っていた。実際、ロケでCX-60とCX-5の2台で震災直前に能登半島を1周したとき、CX-5の走りが体に馴染みすぎて、CX-60と交換するのを拒んだほどだ。
さて、それほど私が惚れ込んだ先代CX-5はどんな走り味だったのか? ひと言でいえば、欧州的な重めなステアリングフィールである。硬めのサスペンションと相まって、ググっとノーズが入ってコーナーをクリアしていく、重めながらも意のままに操れる気持ちのいいステアリングフィールだった。
高速走行では直進安定性がよく、突き上げも上手にいなす、個人的にはその部分がCX-5らしいというか、マツダらしいなと感じていた。反面、路面が荒いと乗り心地が悪くなるがそれは許容範囲だった。
しかし、新型CX-5のFF、ファブリックシート仕様に初めて乗って驚いた。電動パワステは、軽く回せるようにトルクをアシストしているのだが反応が鈍く、ステアリングを大きく切る交差点などでは、ステアリングを戻し始める制御、つまり中立に戻そうとするトルクをモーターで制御する力が強めで、最近の新車には感じたことのない違和感があった。
乗り心地に関しても車体は前後方向のピッチングだけでなく、ミドルクラスの車体で、なんということか横揺れするありさま。前席、後席ともに上質とはほど遠い乗り心地には正直がっかりさせられた。後席に座ると、路面のザラザラ感がお尻にダイレクトに伝わってきた。まあ、初期のCX-60で感じたあの“硬さ”とはまた別物ではあるのだが……。
話は少々飛んでしまうが、F30型BMW3シリーズが登場し、かの水野和敏さんに走りの印象を問うた時、「サスペンションのセッティングはフロントが硬く、リアが柔らかい。上屋が上下左右に揺さぶられるし、ピッチングが多い。走りのいいクルマを作ろうと思ったら、フラットライドでなければいけない」。
ちなみにフラットライドとは、路面の細かい振動や段差のショックが車内に伝わりにくい感覚で、上下動やピッチングが少なく、フラットな床の上を滑るような乗り味のこと。高速道路や荒れた路面でも、車体の揺れが素早く収束する。
水野さんの話をBMW AGが聞いたかどうかはわからないが、マイナーチェンジで、前後のサスペンションセッティングを変えてきて(前後同じ)、高速道路で乗り比べてみたら、見事にフラットライドに変わっていたのだった。
先代CX-5にはハンドル重め、乗り心地固めながら、遠くに行きたくなる欧州車テイストのフラットライド感があったのだが、最初に試乗したFFのCX-5は、走りのよさなんてほど遠い、ハンドルが軽くて乗りやすい1クラス下のSUVに成り下がってしまったのか……と嘆いてしまうほどだったのだ。


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