発売→即受注停止が記憶に新しいスズキ ジムニーノマド。デビューから1年半を経て公式試乗会が開催された。「多くの納車待ちがある中、広報活動はできない」というスズキの良心的判断に感動しつつ、鈴木直也氏が待望の試乗に臨む!!
※本稿は2026年7月のものです
文:鈴木直也/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2026年8月26日号
デビューから1年半後の「ワケあり」試乗会
ジムニーノマドのメディア公式試乗会が、デビュー1年半を経てついに開催された。
「ついに」と表現するにはもちろん理由がある。ノマドが発表されたのは2025年1月30日だが、オーダー殺到でわずか4日で受注停止! 3年分の予定生産台数がアッという間に蒸発するという“事件”があったからだ。
たくさんのユーザーが納車を待っている状態では、ノマドの宣伝や広報活動は控え、バックオーダーの消化が先決。半年かけて増産体制を整備し、2026年の1月にようやく受注を再開。一連の騒動はやっと沈静化をみたのだった。
というわけで、2026年7月1日の商品改良を機に実施された、待望のノマド試乗会の模様を報告しよう。
まずはやっぱりオフロードからチェックでしょ!
今回の試乗会メニューは、まず富士ヶ嶺オフロードで悪路走破性をチェック。その後は朝霧高原周辺の一般道で舗装路の走りを体感するという流れ。まずは、4AT仕様のノマドでコースに乗り出す。
ジムニーファンにとっていちばん気がかりなのは、5ドア化で340mm延長されたホイールベースによって、悪路走破性(特にランプブレークオーバーアングル)にどの程度影響が出ているかという部分。たしかに、スペック的には27度→23度と微妙に影響がありそうな数字だ。
しかし、極悪オフロードコースのかなりヤバそうな状況でも腹をこする事態は皆無。特設オフロードコースならまだしも、一般公道でフロアが当たるようなシチュエーションは限りなくゼロに近いと思われる。
走破力という点では4Lレンジに入れておけば怖いものなし。空しか見えなくなるような登坂でも、逆落としの下り坂でも余裕綽々。対角輪が浮くような極端なモーグル路でも、ブレーキLSDが利いてすぐにトラクションを回復、特別なテクニックなしでスンナリ通過できる。
総合的なオフロード性能に関しては、ショートホイールベースのシエラを100点とすると95点以上。そう評価していいと思う。
オンロードでは意外な発見も!?
一方、一般道の試乗用に用意されたのは5MT仕様だったのだが、これが予想外に楽しかった。
ファミリーカーとしても使えそうな居住性のノマドなら、普通に考えればお似合いは4AT仕様だが、ラクチンに走りたいならジムニー以外にも選択肢はたくさんある。
101ps/13.3kgmの縦置き1.5Lエンジンは、1200kgと意外に軽い車重には充分。パワフルとは言えないものの、粘り強いトルク特性と素直な吹き上がりフィールに、思いのほか魅力がある。
組み合わされる5MTは5速が直結1.0というけっこうマニアックなレシオ。発進重視で1〜2速ギャップは大きめだが、シフトアップしてゆくといい感じにリズムに乗れる。
ロードスターみたいにワインディングを駆け抜ける楽しさとは別の、なんというか、まったりシフトであまり回転を上げずにコロがす昭和の走り(?)。これが意外なほど心地よかったのであります。
AI時代にこそお薦めできる、まさに自動車の原点ですね。
●スズキ ジムニーノマドFC 5MT(4AT)主要諸元
・全長×全幅×全高:3890×1645×1725mm
・ホイールベース:2590mm
・車両重量:1200(1210)kg
・最低地上高/最小回転半径:210mm/5.7m
・エンジン:直4、1.5L DOHC
・最高出力/最大トルク:101ps/13.3kgm
・駆動方式:パートタイム4WD
・WLTCモード燃費:14.9(13.6)km/L
・使用燃料/タンク容量:レギュラーガソリン/40L
・サスペンション:前後3リンクリジッド
・アクスル式コイルスプリング
・タイヤサイズ:195/80R15
・価格:292万6000円(5MT&4AT)
※乗車定員は4名




















コメント
コメントの使い方