1970年春のデビュー以来、2度しかモデルチェンジしていない軽クロスカントリー4WDがスズキのジムニーだ。3代目となる現行型は、間もなく登場から20周年。
久々の新型となる4代目がデビュー間近の今、“ジムニーらしさ”を改めて見つめるべく、現行型のジムニーを借りだした。久々に乗ったロングセラーモデルは、最近のSUVと比べても優秀な、意外な一面も見せてくれた。
文:片岡英明/写真:池之平昌信
20年経っても現行ジムニーの魅力は色褪せず
個人的にジムニーは好きで、初代モデルから何度もステアリングを握った。が、最近はカタログモデルには乗っていない。
6年ぶりの試乗となったが、走り出してすぐに「まだまだ現役でいける」と確信した。熟成の域に達し、デビュー時より快適性が高まっている。また、今の軽自動車にはない魅力も発見できた。
ジムニーは3代目でワゴンだけとなり、パワーユニットは総アルミ製のK6A型3気筒DOHC4バルブターボだけに絞り込んだ。今、ハスラーなど、他のスズキ車は新世代のR06Aエンジンを積んでいる。
が、K6A型エンジンの実力が、今でも通用することを今回の試乗で実感した。エンジンに細かい改良を施し、遮音材も増やしているのだろう。高速走行でも会話が途切れないほど、静かで、振動も上手に封じ込んでいた。
現行モデルは1トンに迫る重量ボディだ(編注:ハスラーは4WDターボで850kg)。だが、4速AT車でも軽快な加速を引き出すことができる。ターボの応答レスポンスは鋭いし、その気になれば6000回転まで無理なく引っ張ることが可能だ。
オフロードも意識したギアレシオだが、高速走行も余裕でこなした。追い越しも俊敏で、冴えた加速を見せつける。前に乗ったモデルより、制御が緻密になり、滑らかさに磨きがかけられた。
望外によかった舗装路での乗り心地
サスペンションは、前後とも3リンクにコイルスプリングを加えたリジッドアクスルだ。3代目では同軸上にあったショックアブソーバーとスプリングを別軸に変更した。その効果は大きく、舗装路ではしなやかな乗り心地と軽快なハンドリングを実現している。
最終モデルは剛性も高い。サスペンションが軽やかにストロークし、コーナーでは踏ん張りがきく。ロールは許すが、したたかな接地フィールだ。
3代目から標準装備された電動パワーステアリングも軽く扱いやすい。初期モデルより操舵したときの正確性と洗練度が高められている。
さすがに最新のワゴンRやハスラーと比べると曖昧なゾーンがあるが、荒れた路面ではちょっとダルな操舵フィールのほうが扱いやすい。ストローク感たっぷりの良質な乗り心地も特筆できるところだ。舗装の継ぎ目やギャップを通過しても衝撃を上手に吸収する。
一般道は2WD走行が基本だ。さすがにハスラーほど直進安定性はよくない。が、過敏すぎないから、ロングドライブしても疲れは少なかった。燃料タンクも49Lと大きいから長距離ドライブでも安心感がある。
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