自動車評論家 石川真禧照氏によるBMW4シリーズの海外試乗の様子をピックアップ。5代目3シリーズ(E90型)からサイズアップしたことで、車名が「3」から「4」へと変更。果たしてその実力は?(本稿は「ベストカー」2013年9月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:石川真禧照
■5代目3シリーズよりサイズは大きく、しかし重量は50kg以上の軽量化
ポルトガル・リスボンでの試乗会で、目の前の4シリーズは2ドアのクーペボディ。5代目3クーペ(E90型)よりもかなり大きく見えた。
実際に諸元を見てみると4シリーズは全長で28mm、幅は45mm大きい。全高は23mm低くなった。ホイールベースは50mm長くなり、トレッドもフロントは45mm、リアは80mmも広くなった。
このシャシーはもちろん3シリーズセダンと同じ。しかし、特に80mmも広くなったリアのおかげで、全体のスタイリングはボリューム感のある、バランスのとれた美しいクーペに。
フロントグリル下の左右に開けられた空気取り入れ口から入った空気がホイールハウス周辺の空気の流れを整える効果があり、高速走行での燃費が向上するという。
このサイドからリアに目を向けるとリアクォーターウィンドウは3クーペよりも長く、低い。全体のプロポーションは美しい。歴代の3クーペよりも大きく、バランスが取れている。
こうした要素もあり、「3」から「4」へと車名変更されたのだ。
インテリアの基本は5代目3シリーズと同じ。
リアシートの座面は中央部分が小物置き場になっているので左右1名ずつが定員。大人が長時間乗っても、あまり不満は出ない広さを確保している。3クーペよりも若干広い。
用意されたパワーユニットは3種類。今では世界でも数少ない直6、3Lターボ(435i)と直4、2Lターボ(428i)がガソリン。ディーゼルは直噴4気筒2Lターボ(420d)で、ミッションは8速AT。
ガソリン車は2車にFRとXドライブという4WDシステムも最初から用意されている。
試乗したのは「435i」。3Lターボは306ps/40.8kgm。この数字は5代目3シリーズクーペの335iと同じだが、動力性能は車重が約50kg以上軽量化されたことで、若干性能アップしている。
ハンドリングは500mm以下にまで下がった重心点の恩恵はあまり味わえなかった。その理由はタイヤとホイールだ。
試乗車はオプションの19インチタイヤを装着していた。これが明らかにオーバースペック。コーナーでの粘りや超高速での安定感に不満が残った。乗り心地も細かい上下動が気になった。
サスペンションに装備される可変ダンピングシステムをもってしてもベストなハンドリングは得られなかった。
おそらく標準サイズの17インチタイヤなら歴代のクーペのなかでもベストハンドリングを楽しめたはずだ。
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