「スーパーSUV」。ランボルギーニでは、自身3番目となるモデル「ウルス」をこう呼ぶ。これは、「ウルス」が単なるSUVでも、もちろんメーカーお得意の「言葉遊び」でもない、世界初となるスーパーカーとSUVとが融合したモデルなのだという、ランボルギーニからのメッセージでもあるのだろう。
ベントレー・ジャガー・マセラッティなど、世界の名だたるハイブランドが新型SUVを投入するなか、2012年北京モーターショーでのコンセプトカー発表から6年の歳月をかけ、今年2月、日本での正式発表を迎えたこの5人乗りスーパーSUV。日本国内では9月から納車が開始されるという。
日本価格は2574万円だ。その価格を追いかけるだけの価値はあるのか? 自動車評論家 西川淳氏による、イタリアでの試乗レポートをお届けする。
文:西川 淳
写真:ベストカーWeb編集部
■日本発表今年2月 今秋から納車開始
イタリア・ヴァレルンガサーキットに用意されたウルスの試乗車は3種類。サーキット用に22インチタイヤのカーボンパッケージ仕様、オンロード用に23インチタイヤのスタンダードルック、オフロード用に21インチタイヤのオフロードパッケージ仕様だ。個人的にはオフロードパッケージの“顔が尖った感じ”が気に入った。やっぱりスーパーカーの顔は尖ってなきゃね!
ボクの組はいきなりサーキット。1周4.1kmのコースを4周ずつ3セット走る。“タンブーロ”と呼ばれるセンターコンソールの操縦桿のようなスイッチで6種類あるドライブモード(お好みセットも可能)のなかからコルサ=サーキットを選んだ。
先に走っていた組が通過。ランボとは思えないほど、静かだ。コースへ飛び出せば、室内にはミドシップカーほどではないものの、それなりに勇壮な音が入ってくる。身のこなしは敏捷で、大きさを感じさせない。右アシの裏で、常に大きなトルクの塊を押さえ付けているような感覚がある。解き放つと、すさまじい勢いで加速した。視線が高いのでラインを狙うことも容易。タイトベントでは面白いようにウチを向き、高速コーナーでは粘りつくような手応えで安心して踏んでいける。アクティヴトルクベクタリングとリアステアの恩恵だ。
ブレーキがやや辛かった。2トン超のサーキット走行なのだから当然か。それより、あまりの安楽さに拍子抜けした。汗ひとつかかない。速いが決して楽しいとはいえない。
23インチに乗って一般道を走っても、極上の乗用車に終始する。ストラーダモードでも少し硬めで大きなタイヤの存在を感じるが、スポーツモードなら巨体にも拘わらずクルマとの一体感がしっかりとあって、運転がとてもラク。ボディの端々にまでドライバーの意思が行き届いている。リラックスしすぎて、ランボに乗っていることさえ忘れてしまいそうに。もっとも、ひとたびフルスロットルをくれてやると、SUVとは思えないほど過激な加速をみせた。一般道でのフルスロットルが、唯一、ランボらしい。音の抜けない一般道でなら、サウンドも迫力満点に聞こえる。
最後にオフロード。ここでも制御がすばらしく、意のままだ。サーキットよりも、やっぱり楽しい。本物のSUVである。
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