先のミュンヘンモーターショーで発表されたばかりのコンセプトカー、フォルクスワーゲンID.ライフに速攻試乗。気になる完成度をリポート!
※本稿は2021年11月のものです
文/木村好宏、レポート(グレッグ・ケーブル/キムラ・オフィス)、写真/VOLKSWAGEN
初出:『ベストカー』2021年12月10日号
■これがフォルクスワーゲンが描く自動車の未来だ!
VW ID.ライフは、IAAミュンヘンモーターショーで華々しいワールドデビューを飾った注目のコンセプトモデルだ。
これまでVWが発売してきたEVモデルは、最も安価なID.3でも適度なオプションを装備すると4万ユーロ(約520万円)近くになるが、このID.ライフコンセプトは、2025年にはおよそ2万ユーロ(約260万円)の価格が付けられて登場すると予想されている。
全長4091×全幅1845×全高1599mmのボディは、ID.3より20cmも短い。計画されている生産バージョンのEVプラットフォームはMEBをモディファイしたものを使用しており、社内ではMEB-ECOと呼ばれている。
生産タイプには57kWhからさまざまな容量のバッテリーが用意される。セルは現在VWが使用しているニッケル・マンガン・コバルトに代わり、低コストのリン酸鉄リチウムを採用。航続距離は400kmと発表されている。
ID.ライフがID.3と異なるポイントはモーターがリアではなく前輪を駆動する点だ。モーター出力は172kW(234ps)、最大トルクは290Nm(29.6kgm)。0-100km/hを6.9秒、最高速度は180km/hに到達する。しかしそれはあくまでもショーカーとしての看板で、量産モデルはもっとおとなしいだろう。
モーターをフロントに置いたのは主にコスト、そしてパッケージングが目的で、大人4名のスペースと、リアに400Lという充分な広さのトランクを確保できた。
インテリアは非常に質素で控えめな仕上がりだ。航空機の操縦桿のようなステアリングの中央はデジタルインストルメントパネルになっており、専用のインフォテイメントディスプレイは用意されない。
スターターボタンは木製棚に彫り込んだスイッチだ。ドライビングポジションは高めで、視界は良好、コーナーの先までよく見える。
ID.ライフをドライブして得た好印象の原因は、従来の内燃機関搭載のコンセプトに見られたように仮のプラットフォームではなく、すでにプラットフォームが決まっているだけに構造上の剛性や、トータルなスティフネスが確保されているからであろう。
短縮されたMEBのシャシーにはフロントにマクファーソンストラット、リアはトーションビームが組み込まれ、ステアリングシステムはID.3譲りのEPS(電動パワステ)が装備されている。
今回のテストは時速40〜50kmという低速でクローズドサーキットを数周するだけというものだったが、ステアフィールは軽くダイレクト。ストレートを走っている時のセルフセンタリングを含め操舵力は適当で、切り込んだ時の操舵感も決して悪くない。
数値は発表されていないが、運転したかぎりでは回転半径は小さく、市街地でも乗りやすそうだった。
総じてこのコンセプトモデルはかなりよくできた状態と言える。それゆえに2025年に登場するプロダクションモデルに対する期待は大きい。
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