その年に登場したクルマの中からNo.1を決める日本カー・オブ・ザ・イヤー。イヤーカーには日産ノートシリーズが輝いた。そして輸入車の中で最も多く得点を獲得して、2021-2022インポート・カー・オブ・ザ・イヤーとなったのが、フォルクスワーゲン・ゴルフ/ゴルフヴェリアントだった。
欧州Cセグメントのベンチマークとなるフォルクスワーゲン・ゴルフだが、8代目となる現行型は電動化、デジタル化を導入。カテゴリーのリーダーとして大幅な進化を遂げ、ライバルたちに差を付けている。
そんな現行型ゴルフに2021年12月にディーゼルターボエンジンを搭載したTDIとスポーツモデルのGTIを立て続けに追加した。さっそく注目度の高い2つのモデルに試乗することができたので、インプレッションを紹介する。
文、写真/萩原文博
【画像ギャラリー】VWゴルフGTIとTDIの詳細を画像で紹介(22枚)画像ギャラリー最新世代のディーゼルエンジンを搭載し、レスポンスが向上したTDI
まずは12月21日に発表されたゴルフTDIから。ゴルフTDIの新車価格はエントリーグレードのアクティブベーシックの344万4000円~408万8000円のRラインとなる。グレード構成は価格の安い順にアクティブ・ベーシック、アクティブ・アドバンス、スタイル、Rラインの4グレードを設定。
装備面で見ると、駐車支援システムのパークアシスト、LEDマトリックスヘッドライトIQ.LIGHT、インフォテイメントシステム“ディスカバープロ”が標準装備され、400万円を切った398万9000円という戦略価格のアクティブ・アドバンスがオススメと言える。
新型ゴルフTDIのトピックスは何と言っても最新世代のディーゼルエンジンを採用したこと。最高出力150ps、最大トルク360Nm、WLTCモード燃費で20.0km/Lという高出力・低燃費を2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは両立しているのだ。
搭載されているディーゼルエンジンは、最新テクノロジーであるツインドージング(デュアル アドブルー噴射)システムを採用。ディーゼルエンジンの懸念材料である窒素傘下ぶる(NOx)の排出量を抑えつつ、従来モデルより最大トルクを向上させているのだ。
ツインドージングシステムというのは、直列に配置した2つのSCR触媒コンバーターから尿素水のアドブルーを注入することで、NOxの排出量を最大80%低減。また、最大トルクの向上と燃費性能の向上を果たしているのである。
試乗したのは、TDIの最上級グレードであるRライン。新車価格は408万8000円。試乗車にはオプションのディスカバープロパッケージ(19万8000円)、テクノロジーパッケージ(17万6000円)、18インチアルミホイール(6万6000円)、有償オプションカラー(3万3000円)を装着。合計456万1000円だ。
先代のディーゼルエンジンを搭載したTDIに何度も試乗する機会があった。低回転から発生するトルクによって、非常にスムーズな加速をしてくれ、優れた燃費性能を発揮してくれ非常に好感を持ったモデルだった。
その一方で、ディーゼルエンジン特有のノイズと振動の大きさは非常に気になったポイントだ。今回の試乗コースは箱根のワインディングということで、トルクがアップした新世代のディーゼルエンジンを試すには適したステージと言える。
ゴルフTDI Rラインを乗り出して、感じるのは先代モデルで気になったエンジン音の車内への進入や不快な振動が抑えられていることだ。特に騒音は大幅に改善され、質感がかなり向上している。
新世代2Lディーゼルエンジンはトルクの向上も感じるが、最も進化を感じたのはアクセルレスポンスの鋭さだ。向上した静粛性との相乗効果で、ディーゼルエンジンと言われなければ、ガソリン車と勘違いするほどのシャープなレスポンスを味わうことができる。
最大トルク360Nmを1,600回転という低回転域から発生し、シャープなレスポンスを発揮するエンジン。そしてRライン専用のスポーツサスペンション、225/40R18という高いグリップ力のタイヤを装着していれば、ワインディング走行が楽しくないはずはない。
急な上り坂でもビッグトルクを活かして、グイグイと駆け上がってく。もちろん、コーナリング時のステアリングフィールやロール感も絶妙な味付けでディーゼルエンジンはスポーツ走行に向かないという常識を見事に覆された。
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