【これぞ走りの真骨頂!!】S660 ModuloXはホンダ魂の伝承車だ

 軽自動車で70万円の価格差。正直編集担当も「280万円のS660ってどうなのよ?」というのが最初の印象だった。

 しかし、乗れば目からうろこの連発。その完成度間違いなく70万円どころで埋められるものではなかった。

 たしかに価格は高価。でもその乗り味はS660の真の姿にも思う。S660 ModuloX試乗記をお届けします。

文:渡辺敏史/写真:ホンダアクセス


■価格差70万円、それだけの価値はある

 モデューロの部品開発で培った知見や車両開発工程での情報共有などをもとにカスタムコンプリートカーを開発。

 それを基準車と同じ工場ラインにて生産し、全国のホンダディーラーを通して販売するというメーカー直系ならではの利を活かしたモデルが「Modulo X」。

 2013年に初めて手がけたN-BOX以降、ステップワゴンやフリードなど4モデルが発売されているが、この7月より販売開始となったのがS660。

ノーマルのS660もいいのだが、Modulo Xに乗るとその走りは大きく異なることにすぐ気づく。ダンパーストロークが豊富なのだ

 Mosulo Xにとってはいよいよ本格的なスポーツモデルの展開となるわけだ。

 S660 ModuloXを構成する部品のなかにはホイールやサスペンションユニットなど、すでに単品販売されているものもある。

 いっぽうでコンプリートモデルの勘どころとして挙げられたエアロダイナミクスを形成する部品の一部はModuloXを購入しなければ手に入らない。

 そして内外装色にも特別な設えが用意されるなど、スペシャル感を高めている。ベースとなるS660αに対する価格差は70万円近いが、装着されるパーツ群を積み重ねてみれば、それが割安なものであることは伝わってくるだろう。

 試乗前に開発責任者から念を押されたのは、すべてのModuloXに相通じるコンセプトだ。

 いわく、これは限界性能を高めるばかりを目的にしているのではなく、何人が乗ろうとも意のままに動くというリニアリティや、運転手本位ではなく同乗者にも気持ちいいと思える車体の動きや乗り心地を重視していると。

 それはMTのS660 ModuloXであってもそこは変わらないということだった。

■専用エアロパーツで走行性能が大きく変わる

 試乗ではS660の基準車や、あえてホイールのみ、バンパーのみが基準車状態のModuloXなど趣向を凝らした比較がクローズドコースで行えた。

 リフト量を徹底的に抑えたというエアロダイナミクスは、確かに中高速域の続くS字コーナーなどで前軸側の安定感として差異が感じられた。

 たかだかバンパーひとつで? と訝しがるも、いかに床下の空気を高速かつ高指向性を持って後ろに抜くかという命題において、ボルテックスジェネレーター的な突起の最適配置が奏功しているそうだ。

バンパーをノーマルにした試乗車。メーカーが作るエアロパーツは風洞など大きな設備を使い、徹底した空力実験の裏付けで作られていることがわかる

 個人的にはそれ以上に感心したのはバネ下からの入力の伝達がクリーンなことで、これはアルミホイールの重量以上に剛性や減衰性が効いているという。

 一つひとつの性能的裏付けを確認しながら基準車とModuloXとを乗り比べると、後者は明らかに不要な車両の動き、そしてノイズや振動が少ないことに気づく。

 加えて操舵ゲインの柔らかい立ち上がりや線形的なブレーキタッチなど、結果的にこれらが乗り心地の上質感と密接に繋がっていることに感心させられた次第だ。

Moduloの開発アドバイザーはご存じ、土屋圭市氏。「妥協」の二文字を知らないドリキンと、同じく乗り味の追及に明け暮れる開発陣の集大成だ

 速い遅いのベクトルよりも動作と応答性との相関をいかに高精細に伝えるか。そしてドライバーはいかにそれを感じ取るか。

 Modulo Xはクルマとの対話を饒舌に楽しみたい向きに作られた、基準車のリファレンス的な存在意義があるのだと思う。

 そしてS660は稀有な車格のミドシップであればこそ、自分の操縦再現性に長けている。正直いって、S660にはこういう楽しみ方もあったのかと目から鱗の1台だった。

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