日本を代表するスーパーカー、GT-Rが発売されたのは2007年のこと。開発を取りまとめたのはご存じ水野和敏氏だが、その開発ドライバーであり、本誌で度々テスターを務めているのがレーシングドライバーの鈴木利男氏だ。
F1やル・マン24時間レースに参戦した経歴を持ち、車の評価には人一倍厳しい、プロの目を唸らせる最新モデルはあるのか?
文:ベストカー編集部
写真:池之平昌信
ベストカー 2018年11月10日号
本企画では、鈴木利男氏がスイフトスポーツ、ロードスターRF、そしてクラウンの国産最新モデル3台を走らせ、その実力を厳しくチェック。
100点満点で、96点以上は「参りました」、90~95点は「これはいい!」、80~89点は「まぁまぁいいね」、70~79点は「可もなく不可もなし」、70点未満は「う~ん、ちょっと困った」という基準を設け、評価をおこなった。
果たして、鈴木利男氏を「参りました」と言わしめる車は現われるのか!?
スイフトスポーツ「このエンジンは素晴らしい!」
まずは庶民の味方、スイフトスポーツからスタート。以下、テスト中の利男氏のコメント。
エンジン(1.4Lターボ)はいいね。トルクは充分だしレスポンスもいい。カタログ数値の140psよりもっとパワーがあるように感じますよ。音はいまいちだけど、実用性も高いし、これはいいね。
足回りの動きもしなやか。サスペンションがしなやかにストロークしています。それにボディが軽いよね。リアサスもちゃんとついてきて、変な挙動が出ません。
ちょっとペースを上げてみましょう。ああ、スピードを上げるとちょっとアンダーっぽくなるなぁ。
追い込んでいくとフロントの柔らかさを感じます。高い負荷をかけると、サスペンションが沈んでいった時の収まりが不足しちゃう。最後の最後にグニャッといっちゃうんですよ。ダンパー(モンロー製)をもうちょっと締めたいなぁ。
また、ボディの軽さに対してバネ下の重さを感じます。それに足の動きはしなやかなんだけど、タイヤがゴツゴツしてるんですよね。サスペンションのセッティングとタイヤのキャラクターが合ってないような感じです。
コーナリングも、あるレベルまではしなやかでいいんだけど、大きな荷重に対してはサスペンションが柔らかすぎる気がします。乗り心地を確保するためなんだろうけど、前後のバランスがちょっと取れていないんですね。
エンジンはいいし、足もしなやかなんだけど「スポーツ」を名乗るには少し柔らかすぎるかな。最近のクルマはみんなこういう方向性なんでしょうけどね。
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100点満点での利男氏の採点は85点。「まぁまぁいいね」レベルとなった。
ロードスター「自在に荷重を操れる足だけど…」
大幅に改良されたというエンジンだけど、これはイマイチだなぁ。
回転の上がりが渋いし、ミ〜ンというおかしな音も出てる。まだ3000kmしか走ってない車だから、アタリがついていないのかもしれないけど、回すのがかわいそうになるくらい(笑)。スイフトのエンジンのほうが軽快でトルク感もあるよね。
回している途中で息つくわけではないけれど、軽快さが感じられない。(試乗車は6ATだが)MTだと違う印象になるのかな?
コーナリングではボディ上部の重さを感じます。それとサスペンションが意外とマイルドで、荷重をかけるとふわっと沈む。高級グレードの「VS」だから、そういう味つけにしているのかもしれませんけどね。
ルーフを開けてみましょう。……開けると剛性ないね。ステアリング、シートバック、ペダルなど体が触れるところすべてにブルブルと振動が伝わってきます。一般的なオープンカーの振動レベルよりも大きいですよ、これ。路面のデコボコをステアリングで感じるのは嬉しくないよね。
ロールは大きいけれど、動きのバランスはいいです。タイヤも悪くないし、サスペンションのストローク感もいい。ステアリングとアクセル、ブレーキで自在に荷重を操れる感覚もあって、こういうのは楽しいですよね。
この車はスポーツ性ではなく高級感を楽しむものなんでしょうね。内装も上質だし、その狙いは達成できていると思いますよ。
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採点は70点で「可もなし不可もなし」レベルとなった。新開発エンジンの評価が低かったのが残念。
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