VWきってのハイパー4WDスポーツ、ゴルフRが誕生して20年となった2022年。その生誕を祝う現行型ゴルフRの記念モデル、20yearsの試乗インプレッションを木村好宏氏がお届けする。
文/木村好宏、写真/VW
■VW ゴルフRの20周年記念モデルに試乗!
トヨタのカローラと並んで世界のベストセラーと言われるCセグハッチバックモデルのVWゴルフは1974年の誕生以来、世界各国の市場で3000万台以上が販売されてきた。しかし、ドイツ市場ではここ数年の間にその存在に陰りが出てきている。
2019年には年間20万4550台を販売したが、昨年2022年の総販売台数は8万4242台、3年間でなんと58.8%も減少してしまったのである。その理由は長く続くSUVブームによって同じ屋根の下に存在するティグアンやT-ROCなどとの競合、あるいはID.3やID.4、あるいはID.5などの新しいトレンドにあることは間違いがない。
こうして傑作と言われるコンパクトハッチバックがフェイドアウトしていくのは歴史の流れなのかと納得せざるを得ない。ところが一方、これを持続させようという動きも出ている。
特に注目されてくるのはICEを搭載したスペシャルスポーツモデルの追加である。ゴルフのスポーティバージョンと聞けばだれでもGTI を思い起こすだろうが、流れはもっとレアで上のモデル、ゴルフRである。
GTIのホットハッチに対してハイパーハッチと呼ばれるワンランク上のスポーツモデル、ゴルフRはドイツ市場で現行モデルのGTIを超える勢いで販売されているのだ。こうしたなかでゴルフRは2022年に20周年を迎え、このタイミングでVWR社はゴルフRの20周年記念モデルを2022年リリース、今回ようやくドイツを中心としたヨーロッパでの発売が始まった。
■初代のゴルフRは2002年誕生の「R32」
話を2002年夏に戻すと、VWはドイツ市場でゴルフIVをベースにしたR32と名づけられたスポーツモデルを5000台の限定生産で販売した。搭載されたエンジンは3.2L狭角V6DOHCで最高出力は241ps、最大トルク320Nmで0-100km/hを6.4秒で加速、最高速度は247km/hに達した。
このモデルは特にアメリカ市場で大好評、2004年までに最終的には欧州の7000台に加えて5000台がアメリカへ出荷された。
今回発売された「20周年記念モデル」のべースはもちろん、現行のゴルフVIIIRで搭載されるエンジンはEA888evo、最高出力は245kW(333ps)とスタンダードよりも13psアップされている。これはターボ過給圧を上げ、ソフトウエアを最適化したことによるものだ。
ちなみに最大トルクは420Nmで変化はない。その結果7速DSGを介しての最高速度は270km/hでリミッター制御、0-100km/hは4.6秒とカタログでは謳っている。
エクステリアデザインはまずブルーとホワイトの専用カラーのほか、左右のヘッドライトを結ぶラインにボディカラーが採用されている。標準で装着されているタイヤはBSのポテンザスポーツS005でサイズは前後ともに235/35R19で、組み合わされるホイールは「エストリル」でブラックとブルーブラックのどちらかが選択可能だ。
レポーターの好みでは専用パーツが映える明るいホワイトボディのほうがベターだ。クルマに近づきドアをリリースすると、「20R」の文字が路面に照射され、さらに近づくとBピラーの根元には「20」の文字が発見される。
インテリアも大きな変化はなく、基本的にはスタンダードRに準じており、ステアリングホイールの6時位置にブルーのRロゴも見える。
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