■軽にあらず!? 静粛性も加速も感動レベルのデキ
最初に試乗したのは、カスタムのターボモデル。運転席に座ってみると、まずは視界が広々としていることに気がついた。
先代からガラスエリアの面積は広がっていないが、メーターがステアリングの上部に出ないデザインになっているので、前方がすっきり見える。
また、サイドの補助ミラーの位置やサイズも変更されて、より直感的にクルマの周辺を確認しやすくなった。
新型のスペックだけを見れば、動力性能に大きく効くような変更はなされていないように感じる。しかし、実際に運転してみると、その差は一目瞭然だった。
先代も運転しやすかったものの、操作感や車内の静粛性など、“軽自動車っぽさ”が抜け切っていないところもあった。
それが新型では、これまでの軽自動車のイメージから一回りも二回りも上質になっている。
特にその進化を感じたのは、車内の静粛性と乗り心地、そしてステアリングフィーリングだ。
室内のデザインが上質になっただけではなく、とにかく車内が静か。
テストコース内では、100km/hほどで巡行できるシーンもあったが、外の音が気になったのは、思い切りアクセルを踏み込んでエンジンが頑張っている時だけ。
それ以外のシーンは、欧州のコンパクトカーのように静かだと感じた。静粛性に関しては、ルーフライニングの材質変更やフロアカーペットに遮音層フィルムを追加しただけだというが、ここまで変化することには驚いた。
また、先代はフロアがプルプルと震えるような振動を感じることがあったが、新型ではその振動も抑えられている。
■乗り心地激変!! そのワケが納得すぎる
そして、乗り心地がとにかく洗練されていた。
ただ単に柔らかいというわけではなく、路面にしっかりと接地するようにサスペンションがストロークするので、乗り心地の良さと安心感を同時に感じることができる。
部品も大きくは変わっていないのに、なぜここまで乗り味が変わるのか、開発者に話を聞いてみると、なんとこのN-BOXはいわゆる「1G締め」をしているのだという。
通常、サスペンションは地面から浮いた状態で締めるものだが、1G締めはクルマが地面に接地し、車重がきちんとサスペンションにかかった状態を想定して締める。こうすることによって、サスペンションの性能をきちんと発揮することができるのだ。
しかもN-BOXでは、さらに1名+αが乗車している状態を想定して締め付けているため、さらに実情にあった操縦性や乗り心地を実現できている。
CVTの制御も改善されており、加速する時やアクセルを抜いて減速する時なども前後に揺れる動作が抑えられており、これも乗り心地に効いているようだった。
また、電動パワーステアリングの設定も変更されていて、軽自動車にありがちなステアリングセンター付近のスカスカ感もなく、しっかりと自分の操作にクルマが応えてくれる感覚が心地いい。
■文句ナシ!! 唯一の注文はノーマルにターボ追加
ターボモデルの後にノーマルモデルも乗ったが、どちらも乗り味はとても洗練されていて、先代以前のオーナーが乗り換えたらその違いはすぐに感じられると思う。
個人的に選ぶとしたら、全体的な質感がグッとアップしている分、より余裕を持って心地よく走ることができるターボモデルだろうと思った。しかし、新型からターボモデルを選べるのはカスタムだけになってしまったのは残念な点。
私自身は、ノーマルモデルのデザインが好きなので、こちらにターボモデルがあれば最高だったのにと思ってしまう。これまでのノーマルモデルのターボの販売比率は低かったそうなので、致し方ないことなのかもしれないが……。
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