2022年に公開された4つのクラウンのうち、歴代クラウンの伝統を最も色濃く受け継いでいるのは、ファミリー唯一のFRモデルであるセダンだろう。16代目トヨタ クラウンのフラッグシップであるセダンに、2023年師走の東京で試乗!!
※本稿は2023年12月のものです
文/鈴木直也、写真/TOYOTA、ベストカー編集部、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2023年1月26日号
■あの報道が開発チームに火を付けた!
「いや、ホントにソコから始まったんですよ」と述べるのは新型クラウンセダンCEの清水竜太郎さんだ。「ソコ」というのは、2020年11月11日付け中日新聞。その一面には「クラウンのセダンは生産終了。SUVに移行」という見出しが躍っていた。
新型クラウンは“群戦略”が売りモノだが、当初そこにはFRプラットフォームのセダンはなかったということ。順風満帆なエピソードが多いトヨタとしては珍しく、「ひょうたんから駒」でスタートしたのがセダン。
それだけに開発チームの方に話を聞くと「逆に燃えた」というニュアンスの話がぽろぽろ聞けて興味深かった。
そんな開発者エピソードをまず紹介したのは、彼らの思い(ざっくり要約すれば、やっぱりセダン造ってよかったよねぇ)にぼくがすっかり共感しちゃったからだ。
クラウンセダンに試乗してまず感じるのは、そこに「独自の世界」があることだ。
もちろん、クロスオーバーやスポーツは基本がSUVで、駆動レイアウトから何から何までセダンとは異なるのだが、パッケージングやメカニズム的な差異を超えた世界観みたいなものが、乗ってみると即座に理解できるくらいに違う。
それは60年以上にわたってクラウンが積み重ねてきた「日本の高級車」としての伝統なのだが、そういう歴史を途切れさせなかったことだけで、新型クラウンセダンには大いに存在意義があると思う。
しかも、シリーズ4車のなかで、技術的に最もチャレンジングなのがセダンというのも素晴らしい。
水素戦略の本気度を示す意味でFCEVをラインナップする一方、メインストリームとしてレクサスLS/LC譲りのマルチステージハイブリッドシステムを縦置き2.5L直4エンジンと組み合わせて投入。
FR特有のロングノーズシルエットをはじめ、新型クラウンのフラッグシップがセダンであることを明確に示している。
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