2019年5月13日、レクサスのハイパフォーマンスモデル、RC Fがマイナーチェンジを敢行! RC Fといえば5L・V8の大排気量エンジンを搭載。ただ、2014年10月のデビューからすでに約4年半が経過している。
2017年にはフラッグシップクーペのLCが登場したこともあり、若干影の薄くなってきた感も否めないが、今やBMW M4など名だたるスポーツモデルもエンジンをターボ&小排気量化されていることを考えると、RC Fは希少な存在。
今や少数派となった“古典派”は果たして進化しているのか? さっそく富士スピードウェイで全開試乗!!
文:鈴木直也、ベストカーWeb編集部
写真:奥隅圭之
ベストカー 2019年7月10日号
超マニアックな改良で軽量化&エンジンにもメス
本題の試乗記に入る前に、まずは今回の改良ポイントを簡単に紹介。
……といっても、改良点は極めてシンプル。外観も若干ながら変更されているが、そのほとんどが「走り」に関する改良なのだ。
ひとつめのトピックは、従来なかった「パフォーマンスパッケージ」の新設。同グレードは、限界域での走りを極めた高性能仕様で、カーボンファイバー強化プラスチックを外装部品に使用するほか、カーボンセラミックブレーキ、チタンマフラーなども採用。
こうしたパーツの採用により、従来型のベースグレード比で約70kgの軽量化を達成。新型と従来型のベースグレード同士の比較でも約20kg軽くなっている。
さらに、V8・NAエンジンは最高出力が4ps、最大トルクが0.6kgm引き上げられ、481ps/54.6kgmと出力・トルクが向上。
エアクリーナー形状の変更により、トルク特性そのものも見直されているほか、エアロパーツにより空力性能も向上させている。
また、RC Fだけでなく、今回は同時にベースモデルのRCもマイナーチェンジが行われ、片側3連装LEDヘッドライトの採用や、空力性能を高めた前後バンパー形状などの採用により、上級モデルLCをイメージさせるエクステリアとなった。
では、実際の「走り」はどうか? ここからは自動車評論家の鈴木直也氏が解説する。
【編集部】
RC Fを見直した? 盤石の安心感と楽しさに磨き
レクサスRC Fは5L・V8エンジン(481ps/54.6kgm)を搭載したFRスポーツクーペ。世の中がいっせいに電動化へ靡くなかで、いまどき珍しいピュアな内燃機関、しかもNA大排気量エンジンを売り物にする古典派だ。
電動化の総本山たるトヨタにしてみれば対極に位置するクルマだが、そんな異端のスポーツカー作りに熱心に打ち込むエンジニアがいて、えらくマニアックなマイナーチェンジを実施している。
チーフエンジニアの弦本さんに聞くと「こういうクルマが少なくなってきているのは自覚しているが、だからこそ、熱心なユーザーのために開発のベクトルはよりハイレベルを目指す」という認識。
CASEやmaasばかりではなく、こういうアナログの極致のようなクルマにも手を抜かないのが最近のトヨタの面白いところ。章男社長の唱える「もっといいクルマイズム」は、ジャンルを問わず浸透しつつあるように見える。
しかも、最近のトヨタは肝が座っていて、その試乗会を富士スピードウェイのフルコースで開催。いっさいの制約なしに自由に走れという。BMWやポルシェならわかるが、国産でこの対応は珍しい。
RC Fを全開で走らせると、余裕をもって250m看板でブレーキングしてもストレートでは軽く250km/hに到達する。
これだけのパフォーマンスカーを「お好きにどうぞ」と委ねるのは、スタビリティをはじめとする高速操安性能に相当な自信があるからにほかならない。
実際、筆者を含む並のドライバーなら、ドライブモードを「SPORT+」にセットすればVSCはオンのままでOK。
超ハイグリップの専用開発ミシュラン パイロットスポーツ4の助けもあって、100Rのような怖いコーナーでも盤石の安心感で駆け抜けることができる。
レクサスRC Fがこんなにファン・トゥ・ドライブなクルマだったとは。おおいに見直した試乗会でした。
【鈴木直也】
■レクサス RC F 主要諸元
・全長×全幅×全高:4710×1845×1390mm
・ホイールベース:2730mm
・車重:1720kg
・エンジン:V型8気筒、4968cc
・最高出力:481ps/7100rpm
・最大トルク:54.6kgm/4800rpm
・トランスミッション:8速AT
・WLTCモード燃費:8.5km/L
・価格:1404万円(パフォーマンスパッケージ)
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