三菱 初代アウトランダーPHEV。その最大の特徴は「走りが選べる」ということ。東京からスタート、様々な走り方をテストをしながら、河津桜が咲き誇る静岡県南伊豆町を目指した!(本稿は「ベストカー」2013年4月10日号に掲載した記事の再録版となります)
TEXT:編集部
■アウトランダーPHEV ロードテストでわかった真実
世界中のどのメディアよりもアウトランダーPHEVに注目しているベストカーはさっそく借り出してテストドライブに出かけた。今回の目的はEVの航続距離はどのくらいか? など走行状態別の燃費と電費を計測することだ。
まずは満充電、満タン状態にしなければならない。今回は200Vの充電ではなく急速充電で行なった。
夜中のスタートになったため、三菱ディーラーは利用できず苦労するかと思ったが、純正ナビが環八高井戸の無料充電ポイントを教えてくれた。
従来急速充電では満充電にならないとされてきたが、プログラミングの変更で満充電にすることが可能になった。一度80%程度で停止するが、そこからもう一度充電すると満充電になる。
満充電になったところでメーターのEV航続距離予測は42kmを示している。エコモードとし、エアコンもシートヒーターも切ってスタート。外気温はわずかに2℃だ。
まだ夜も明けない3時過ぎということで交通の流れは速い。とにかく寒く、「早くバッテリーがなくなれ」という不遜な気持ちを抑えながら環八から国道246号へ入り、東名の厚木IC付近でEV航続可能距離がゼロになった。実走行は45km、電費は5.9km/kWhだった。
ちなみにリーフがエアコンを切って、一般道を走った時は7.0km/kWhだった。リーフの1460kgに対し、アウトランダーPHEVが1800kgも車重があることを考えれば、納得の数字だろう。
さて、EV可能距離はゼロだが、バッテリー自体の残量は空ではない。エネルギーフローメーターでも16セグ中1セグが残っている。バッテリー保護ということもあるが、ハイブリッド走行できるだけのバッテリーが残されているわけだ。
ここからはエアコン25℃にセットし、小田原厚木道路から小田原を抜け熱海に向かった。熱海から伊東までの国道135号線ではエンジンが発電に回るシリーズハイブリッド走行が多い。
登り坂になりアクセルを踏み込むとエネルギーフローメーターがオレンジに変わり、エンジンがフロントタイヤを駆動していることがわかる。
バッテリー残量が少ない状態で、ある程度のスピードになるとエンジンがかかり、駆動しながらバッテリーも充電し、モーター+エンジン走行も行なう。いわゆる「パラレルハイブリッド」状態だ。
この区間の燃費は13.7km/Lを記録した。伊東からはエアコンをオフ、シートヒーターだけで走行する。シートヒーターは電費への影響が数%ということだが、EV走行状態が少ないために14.3km/Lとわずかな向上にとどまった。
河津に近くなると早咲きの河津桜がちらほら見かけられプチ南国気分だ。
■セーブモード&チャージモードを試す
河津町の交差点でチャージモードに切り替える。バッテリーチャージモードはエンジンを使って駆動用バッテリーへ充電するもので約80%まで回復が可能。河津から南伊豆まで23kmを走行中にバッテリーは約8割まで回復。
EV走行可能距離は36kmを表示した。ただし、燃費は7.8km/Lとかなり落ちてしまった。
ここからバッテリーセーブモードへ切り替える。セーブモードは貯めた電力を使わずに、ハイブリッド走行によって駆動用バッテリー残量をキープしてくれるもの。8割あったものなら8割、5割なら5割をキープしていくものだ。
このモードはバッテリーがなくなり、エンジンが活躍するハイブリッド走行を始めた時とほぼ同じと考えてよく、数値は13.1km/Lだった。
下田からは国道136号線で北上。西伊豆バイパス、伊豆スカイラインでワインディングを楽しんだ。回生ブレーキ力が回生レベルセレクターで変更でき、下りで最大のB5にすれば、強烈な減速フィーリングが味わえ、B0にすれば、ほとんど減速せず、スピードが落ちない。
当然B5のほうが回生エネルギーを多く回収できるが、走行にはB0のほうが負担がないからどちらがいいか微妙。そのぶん運転が楽しい。
この区間ではフル加速も試した。EV状態からフル加速しても、すぐにはエンジンが始動せず、ラグがあるかのように感じるが、こういった時はセーブモードにするのが正解。
最初から臨戦態勢に入っているわけで、加速フィーリングはダンゼンによくなる。この区間はあれこれ、燃費に悪い走行を繰り返したが、燃費は11.8km/Lとなかなかの数字。
標高846mの箱根峠に到着。バッテリー残量はない。箱根新道を下ってセレクターをB5にし、どれくらいバッテリーが回復するか見てみた。ただし、B5だけだと前車との車間調整が難しいため、B5、B4、B3、B2とセレクターを操作していく。
とにかく最大勾配8%、標高差780mもあるだけに回生エネルギーはそうとうなものと予想されたが、エネルギーフローメーターを見ると、みるみるバッテリーに蓄電されていく。
結局、箱根湯本に着く頃にはなんとバッテリー残量は16セグ中14セグまで戻り、EV走行可能距離は71kmを示していた。
出発から10時間、東京に戻った。総走行距離は455.9km(約7割が一般道)でガソリンは30.65Lを使用。燃費は14.87km/Lというもの。
以前エクストレイルの2Lガソリンで同じコースを走った時の数値は9.7km/Lだったから約1.5倍の燃費。立派なものだ。
次回はどこまで行けるか、さらにアウトランダーPHEVのテストは続きます。
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