滑らかでコンフォートな乗り味はクルマのランクを引き上げる
新神戸の駅前でLX100を履いたRAV4を借り受ける。最近のSUVの中ではややアウトドアイメージの強いRAV4だが、アレンザLX100を履いた足元は引き締まってよく似合っている。
ショルダーサイドに回り込むブロックのデザインがスタイリッシュでRAV4のスタイルにマッチしている。
今回、試乗のベースに神戸を選んだのは、市街地と山間部が近く、また、高速道路を走れば淡路島から鳴門海峡まで一気に走れるから。海峡を渡る橋梁部は横風も強く、横風の影響を受けやすいSUVのタイヤ評価にはよりシビアな条件だ。
走り出して真っ先に感じるのは滑らかな乗り心地。タイヤがスルスルスルと抵抗感なく回り、スーと転がっていく印象だ。
トレッドが路面に接触する「当たり」がソフトで、コツコツとした路面からの突き上げも感じない。RAV4はどちらかと言うとタフでワイルドな乗り味が魅力のクルマだが、アレンザLX100を履くとクルマの性格が一変、ワンランク上質なコンフォートSUVの乗り味となる。
しばらく神戸の街中を走って阪神高速に入り西進。第二神明を経由して垂水ジャンクションから神戸淡路鳴門自動車道を目指す。
阪神高速はアスファルトの目が粗いザラついた路面が多く、パターンノイズはもちろんのことロードノイズには厳しい条件だったが、タイヤ全体の撓みなどから発生する“ゴー”という低周波のロードノイズを上手に抑えている。
先ほど説明したショルダーブロックの3Dノイズカットデザインが効果的に振動を減衰していることに加え、SUV専用に特化して設計された、撓みにくくダンピングの効いたサイドウォールも効いているのだろう。
もちろん音自体は発生するのだが、全体的に音圧が低く抑えられているとともに、特に耳障りなノイズがカットされているのでオーディオから流れるお気に入りの音楽が心地よく耳に入ってくる。同乗者がいれば会話も弾むだろう。
また、都市高速特有の路面の継ぎ目の段差でも、トレッド面の当たりのソフトさと車体の重量をしっかりと支えるサイドウォールのしっかり感を実感。
段差からの入力をスッといなしながら減衰し、不快な振動を残さないからスッキリとした乗り心地なのだ。これは大きな美点だ。
アレンザLX100の操縦性は全体的にマイルドな印象だ。高速道路での高速巡航直進性はピシッと安定している。
ところがレーンンチェンジの極微小舵角では、切り始めの反応に一瞬の「間合い」を感じるのだ。対照的なのがスポーツ性を狙ったアレンザ001で、ステアリングの切り始めの一瞬からビシッと反応が立ち上がる。
一方でLX100はこの独特の「間合い」が長距離ドライブではゆったりとした、リラックスしたドライブをアシストする。路面からの微細なキックバックもタイヤが吸収するからステアリングがぶれないし、逆にドライバーの意図しない微細なステア入力をスッといなしてくれるので車体がふらつかない。
高速道路を100㎞、200㎞とロングドライブをすると、圧倒的に疲労が軽減されることがよくわかる。明石海峡大橋や鳴門大橋など、海上橋梁部では横風の影響もマイルドに軽減され、安定した直進性を実感できた。



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