日本を代表する高級ミニバン、日産エルグランド。本稿では『ベストカー』本誌でスーパーカーを試乗しまくる武井寛史氏に、じっくりとその魅力を語っていただいた。
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文:武井寛史、ベストカー編集部 写真:森山良雄、平野学
■専用チューニングのV6エンジン
エルグランドの旋回性能の高さには驚かされた。
日頃、スーパースポーツカーをドライブする機会が多いオレに話が舞い込んできたのは、日産自動車が誇る最高級ミニバン、エルグランドのインプレッションだ。
ミニバンでありながら、あえて走りにこだわったモデルに仕上げていると聞き、その実力を確かめた結果が冒頭のコメントへと繋がる。
クロームメッキで彩られた大きなフロントマスクはダイナミックでありながら豪勢。箱型の形状だが流麗な曲線と空気の流れを考慮し造形された鋭い刃物のようなラインが共存するデザインは、明らかに空力を意識している。
ドアを開き高級感のあるブラックレザーシートに体を預けた。車体が低いスポーツカーとは異なり乗り降りがスムーズなのもミニバンの魅力だ。座面はただ柔らかいだけでなく、ほどよい硬さで違和感なく運転に集中できる。
ブラック基調のインテリアには木目調パネルが備え付けられ、リアシートに座れば高級なラウンジに案内されたような気分にさせてくれる。
インプレッションしたモデルに搭載されるエンジンはVQ35DE。エルグランド専用にチューニングが施されたV型6気筒は280馬力を発生。
高回転まできれいに回ってくれるこのエンジンは、いっぽうで低速域から厚いトルクを発生してくれて、市街地から高速道路まで幅広い速度レンジで快適なドライビングを楽しませてくれる。
■首都高で走ると本領を発揮!
夜になると海に漂う夜光虫のようにクルマ好きで賑わう首都高辰巳第一パーキングの加速車線を遠慮なくアクセルを床まで踏み込んだ。
即座にエンジンが反応しミニバンとは思えない瞬発力でタコメーターはレブリミットまでスムーズに回る。
車重を感じさせない加速感は、エンジンのポテンシャルの高さとともにCVTとのマッチングのよさに加え、バネ下荷重の軽減にも妥協していない開発担当のこだわりが感じ取れる。
路面のつなぎ目やギャップを車体に伝えることなく吸収しているような乗り心地をみせるが、大小さまざまなコーナーがあり、都内を縫うように走る首都高速をエルグランドで攻めると、すぐにその魅力に気づく。
アクセルを戻すことなく抜けるコーナーでは、ステアリングをきればリニアに反応し、自分がイメージする方向へとノーズが向きを変える。乗り心地や静粛性を意識した標準装着タイヤでも危なげないコーナリングを披露した。
また、フルブレーキングからのタイトコーナーでは、大きなボディにもかかわらずロール感は少なく、タイヤがしっかりと路面を捉える感覚があり安心してトラクションが入れられる。
さらに付け加えるとサスペンションの動きが絶妙で、コーナリング中、ステアリングのきり足しや戻す動作に対し、姿勢変化が急激ではないので運転が苦手なドライバーでも安心感があるはずだ。旋回性能の評価が高い理由は低重心化と重量配分、さらに高いシャシー剛性の追求にほかならない。
普段、スポーツカーばかりインプレッションするオレにとって未知のクルマといえるミニバンだが、大きな車体のクルマを運転している感覚を忘れるほどの走行性能の高さをみせつけられた。
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