オールシーズンタイヤは「いいとこ取り」のユーティリティプレイヤー
東京都在住の私自身がまさにそう感じていたのだが、2016年にグッドイヤーが導入した『VECTOR 4SEASONS Hybrid』を自身の愛車に装着したことで、その“もったいない感覚”から完全に解放された。冬を除く3シーズンでサマータイヤに準じる性能を享受し、そのまま冬を迎え、ちょっとした積雪路面に出くわしても問題なく走行できたという体験を何度かして以来、まさに自分の(ようなユーザーの)ためのタイヤじゃないかと気に入ったのであった。
オールシーズンタイヤって結局のところ“どっちつかずなんじゃないか?”という装着前の心配は、装着後に“いいとこ取りってあるんだ!”という感想に変わった瞬間だった。
厳密に言えば、オールシーズンタイヤはサマータイヤに比べ、ロードノイズがやや大きい。特に高い速度域で高周波の「シャー」という音を発する。また路面をグリップする絶対的な力は十分だが、ステアリングをわずかに切った際の反応はサマータイヤほどシャープではない。『VECTOR 4SEASONS Hybrid』もそういう特性をもつ。ただしこれ、“乗り比べれば”そういう評価となるが、音もステアリング特性もしばらく乗っていれば気にならなくなるレベルであることを付け加えておきたい。
今回、昨年登場したVECTORシリーズの最新作『VECTOR 4SEASONS GEN-3』を気温の高い路面で試す機会を得た。SUBARUレヴォーグに装着し、東京都心から東名高速、小田原厚木道路を経て小田原、箱根方面へ走らせた。
VECTOR 4SEASONS GEN-3は静粛性、乗り心地ともにプレミアムクラスだ
自動車専用道路を走行し始めて最初に感じたのが静粛性の高さ。オールシーズンタイヤの特性上ある程度避けられないはずの高周波ノイズがかなり軽減されているのだ。これまでが「シャー」だとしたら「サー」という感じか。絶対的な音量も下がっているはずだ。これまで以上に冬季を除く3シーズンをサマータイヤとして使えるようになった。
ステアリング切り始めの反応がマイルドな特性は変わらず、コンフォート系サマータイヤのようなステアリングフィールと乗り心地を提供してくれる。それでいて、これまでの『VECTOR 4SEASONS Hybrid』よりも直進安定性、直進保持性が高まっているように感じた。ACCを利用し、ステアリングに軽く手を添えている際の安定感、安心感が増し、ロングツーリングもウェルカムだ。
箱根の山道では、スポーティーというわけではないが、グリップ力は十分。近頃スタッドレスタイヤの性能向上は著しく、各社の最新モデルであれば山道で活発に走らせても腰砕け感を抱くことはなくなってきたが、『VECTOR 4SEASONS GEN-3』はそれら最新スタッドレスタイヤとは一線を画す、さすがはオールシーズンと思わせるサマータイヤに遜色ないドライ特性を味わわせてくれた。
トレッドパターンはおなじみのV字シェイプで、ひと目でオールシーズンタイヤだとわかるのだが、『VECTOR 4SEASONS Hybrid』よりも細かな溝(サイプ)が増えており、ウェット走行時の安心感が視覚的にも高まった。新品に近い状態では見てもわからないが、溝の底ほど溝の幅が広くなる構造を採用しており、摩耗が進行した際のウェット性能の低下を抑制しているという。
オールシーズンタイヤというとドライ性能と雪道、凍結路面での性能のバランスばかりを気にしがちだが、季節を問わずしばしば出くわすウェット路面での性能が心もとないのでは、タイヤとしてオハナシにならない。その点、『VECTOR 4SEASONS GEN-3』は全方位的に抜かりなし。
加えて、時代の要求に応えるかたちでロングライフ性能や燃費性能も進化しているそうで、今後、長期的に使用し、この辺りもぜひ検証してみたい。つまりは自分のクルマの次のタイヤの候補最右翼というわけだ。
【プロフィール】
塩見智(しおみ さとし)
1972年岡山県生まれの51歳。地方新聞記者、『ベストカー』、『NAVI』などの自動車専門誌編集者を経てフリーランス・ライターおよびエディターとなる。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。趣味はゴルフ。
【画像ギャラリー】夏も快適、冬も安心!! 次のタイヤはオールシーズンタイヤを選んでみてはいかが?(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方雪道走らんのならね
都内か神奈川の平野部とか埼玉の平野部とかなら良いんじゃない
EVじゃないけど、接道走行を考えるならまだまだなのよ
オールシーズンタイヤも結局五分山になったらスノーとしての使用は不可。
履き替えの手間は省く事は出来るが使用期間は短命に終わる。春先に五分山になればいいが秋口に五分山になったらそのまま終わる。結局どれが正解なのかは使用する側の判断。
ただ単に薦めても捉え方次第で逆に反感をかうだけ。